JRA社台グループにダブルショック!? 「1200万円」デアリングタクト桜花賞優勝で失ったものと、繰り返されたジャングルポケットの二の舞
桜花賞はデアリングタクトが驚異の末脚で勝利したが、社台グループの生産馬ではない馬が勝ったのは3年ぶり。それ自体は大きなニュースではないが、デアリングタクトの母デアリングバードはもともと社台ファームの生産馬。2014年の繁殖牝馬セールで売却されていた。そこで買い取った長谷川牧場がエピファネイアを種付けし、産まれたのがデアリングタクトである。
社台ファームが388万円で手放した繁殖牝馬が産んだ無敗の桜花賞馬。しかも新種牡馬エピファネイアの産駒。結果的に、社台ファームが失ったものは余りにも大きいといえよう。
しかし過去をさかのぼると、同様のケースはいくつか見られる。特に衝撃的だったのは、2001年の日本ダービー馬ジャングルポケットだろう。
ジャングルポケットの母ダンスチャーマーは、ノーザンファームが所有していた繁殖牝馬であったが、デアリングタクトの母と同じように繁殖牝馬セールで売却されていた。しかし売却後に産駒のジャングルポケットが日本ダービーを制し、秋には3歳馬ながらジャパンカップも完勝。その年のJRA年度代表馬にも選出されているのだ。
ジャングルポケット自体はノーザンファームの生産馬として日本ダービーを勝利したが、その時点ですでにダンスチャーマーは売却済み。結果として、ノーザンファームはダービー馬ジャングルポケットの弟や妹を生産できず、大魚を逃したことになる。
ただし、幸か不幸か売却後のダンスチャーマー産駒は活躍できなかった。これはジャングルポケットの父トニービンが、ジャングルポケットが日本ダービーを勝利する1年前に死去してしまったのも一因と言えるかもしれない。
馬のプロフェッショナル集団である、社台グループが手放した繁殖牝馬がG1レースを勝つという珍しいケースだった。そしてこれらの件は、繁殖牝馬の見切り時の難しさを示した一例ともいえよう。
またデアリングタクトは2018年の1歳馬セレクトセールで落札された馬。このセレクトセールで落札された同世代の牝馬は86頭。その中で最高額はワイルドラズベリーの2017で、なんと1億3500万円。デアリングタクトは上から76番目の1200万円という安さだった。
当時参加していた競馬関係者からすれば、逃した魚は大きかったといって間違いあるまい。このセレクトセールで、デアリングタクトより高額で落札された75頭の成績は以下の通り。
・桜花賞出走=1頭
・重賞勝ち=2頭
・オープン=4頭
・1勝=23頭
・未勝利=37頭
・未出走=8頭
・登録抹消=1頭