武豊騎手「とても残念」オークス馬ダンスパートナー死す……「華麗なるダンス一族」の誇りを胸にカイザーバルが秋華賞(G1)に出陣


 そして、これはその時点ではわからないことだが、この翌年、ダンスパートナーとまったく同じ血統の弟ダンスインザダークが菊花賞を制していることからも、陣営はダンスパートナーに秘められた牝馬離れしたスタミナを見抜いていたのだ。

 残念ながら、ダンスパートナーは並みいる強豪牡馬を押し退けて1番人気に推されたものの、結果は5着。それでもその年のダービー馬タヤスツヨシに先着し、この後に競馬界の覇権を握ることになるマヤノトップガンに食い下がったのだから、やはり牝馬の常識の枠を大きく超えた存在だったことは確かだろう。

 ダンスパートナーはその後、古馬に解放されたエリザベス女王杯の最初の勝ち馬になるなど、最後まで牝馬の頂点に立ち続けた。引退後はなかなかその能力を受け継ぐ仔に恵まれなかったが、2012年にフェデラリストが中山金杯(G3)と中山記念(G2)を連勝し、再び存在感を放っている。

 今日の秋華賞には姪にあたるカイザーバル(牝3歳、栗東・角居厩舎)が出走する。

 春のクラシックには縁がなかったが、前哨戦のローズS(G2)で3着し最後の一冠に間に合ったカイザーバルは、ダンスパートナーの全妹ダンスインザムードの娘だ。最終追い切りでは栗東のCウッドコースで4ハロン52.4秒、ラスト12.3秒。時計は目立ったものではないが、陣営は「今日は単走でサラッと。体調を整える程度」と仕上がりに自信を見せている。

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