JRA武豊「イナリワンは引っかかるだけでしたが」天皇賞・春(G1)「大出遅れ」キセキで逃げる可能性は……
30日、今週の日曜日に京都競馬場で開催される天皇賞・春(G1)の枠順が発表された。武豊騎手との初コンビで挑戦するキセキ(牡6歳、栗東・角居勝彦厩舎)は5枠8番からの発走となる。
前走の阪神大賞典(G2)ではゲートを出ようとせず、スタートで大きく出遅れたキセキ。その後も折り合いを欠いて、最後はスタミナ切れで7着に敗れてしまった。その後、15日に行われた発走調教再審査に無事合格。天皇賞・春でのリベンジを図る。
「前走は出遅れたにもかかわらず、1周目のスタンド前では先頭集団にとりつきに行くチグハグな競馬。レースに参加していないも同然の内容でした。
今回、後入れの偶数枠を引き当てたことで、スタートが不安な陣営としてはホッとしているのではないでしょうか。スタートが決まらないことには、作戦もあったもんじゃないですからね」(競馬記者)
偶数枠もキセキにとって好材料だが、最も援護射撃となるのは鞍上の武豊騎手だろう。
天皇賞・春で最多の8勝をしている武豊騎手は、「平成の盾男」の異名を持つほど長距離レースを得意としている。そして何より“癖”のある馬でのこれまでの実績が心強い。
悲運の快速馬サイレンススズカがその1頭だ。「遅れてきたサンデーサイレンスの大物」とまで期待されていたが、弥生賞(G2)ではゲートをくぐるなど気性難が目立ち、実力が発揮できずクラシック戦線は不発に終わった。だが、武豊騎手が手綱を取ってから、その実力を発揮して大活躍。サイレンススズカのリズムを大切にした騎乗が効果てきめんだったのだ。
またエイシンヒカリもその1頭だろう。アイルランドT(OP)では東京競馬場の直線コースギリギリの大外までよれながらも勝利した癖のある馬だ。その後、武豊騎手が手綱を取ってからはその癖は封印され、香港C(G1)、イスパーン賞(G1)と海外G1を2勝するなど、さらなる活躍をみせた。
レジェンド武豊騎手にとって、くせ者の手綱さばきはお手の物と言ったところだろうか。