JRA NHKマイルC(G1)過去24回の“黒”歴史!? 3歳マイル王「その後」はイバラの道か……
1996年に創設された3歳マイル王決定戦のNHKマイルC(G1)。今年で25回目を迎えるが、過去24回の傾向や優勝馬を見ると意外な事実に気付く。
このレースの優勝馬で、古馬になっても活躍する馬が意外に少ないということだ。
実際に過去24回の優勝馬には、歴史に残る名馬もズラリと揃っている。例えばシーキングザパール、エルコンドルパサー、クロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイなど。特にシーキングザパールとエルコンドルパサーは海外でG1レースを勝利しており、キングカメハメハとディープスカイは日本ダービーを勝利。クロフネはダート最強馬としてその名を残した。
しかしこれらの名馬を含めても、古馬になってG1レースを勝ったのは、シーキングザパール、エルコンドルパサー、ミッキーアイル、イーグルカフェの4頭だけ。1999年以降は2014年のミッキーアイルのみ(マイルCS)というのだから、決して偶然とは言えまい。この時期のマイル王は、成長力に疑問があるといっても過言ではなさそうだ。そしてそれを裏付けるデータもある。
過去の優勝馬24頭の内、9頭はNHKマイルCを最後に平地で未勝利、もしくは引退しているのだ。
第1回優勝馬タイキフォーチュンは、NHKマイルC優勝後は8戦未勝利で引退。ウインクリューガーは平地で24戦未勝利、障害へ転向して1勝をあげているが、平地では3着が精一杯。武豊騎手を背に勝利したロジックもまた、1度も馬券に絡めず15連敗で引退。17番人気で勝利して973万馬券を演出したピンクカメオも、その後14連敗で引退。1分31秒4のレコードタイムで勝利したダノンシャンティも、結局一度も勝てずに引退。
さらにマイネルホウオウは18連敗、クラリティスカイも19連敗、現役のケイアイノーテックも現在11連敗中と散々な成績だ。またメジャーエンブレムはNHKマイルCを最後に引退しており、この時期に東京で行われる3歳マイルG1レースの過酷さを感じさせる。
他にもクロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイが、NHKマイルC以外のG1レースを勝利したのは3歳時。
クロフネとキングカメハメハは3歳秋には怪我で引退し、ディープスカイは3歳秋の神戸新聞杯を最後に5戦して未勝利。今年まだ未出走である昨年の優勝馬アドマイヤマーズを除けば、実に優勝馬の半数以上が、3歳までしか勝てていない。
こういった傾向からも、NHKマイルCを勝利できる馬は早熟タイプか、よほど大きなダメージを抱えてしまうのだろう。