JRAヴィクトリアマイル(G1)アーモンドアイ「有馬記念」で露呈した弱点!? 最強女王がジャパンCや天皇賞・秋のように先行できない理由
前日段階ながら単勝1.6倍と、今年のヴィクトリアマイルの確固たる主役を務めるアーモンドアイ。出走メンバーを見渡してもG1・6勝という実績は圧倒的で、関係者からも牝馬限定に出走すること自体を“反則”と冗談半分で批判する声もあるほどだ。
昨年の安田記念(G1)以来となるマイル戦だが、1600mは4戦3勝。桜花賞(G1)勝ちに加え、3着に敗れた安田記念もスタート直後に大きな不利を受けたもの。逆に、最後の直線で猛然と追い上げた、上がり3ハロン32.4秒の鬼脚は、改めてこの馬の図抜けた能力を知らしめる結果となった。
キャリア初の惨敗を喫した有馬記念(G1)以来のレースとなるが、それでも単勝1.6倍は妥当なオッズといえるほど、アーモンドアイが抜けていることは確かだが……。
「今の馬場傾向を考慮すれば、さすがのアーモンドアイも少しでも前でレースを進めたいところでしょう。逃げ馬を見る好位から押し切ったジャパンC(G1)や天皇賞・秋(G1)のようなレースが理想的ですが、果たしてそれが、流れの速いマイル戦でできるかは疑問を抱かずにはいられません」(別の記者)
記者がそう語るのもアーモンドアイが好位から競馬した、一昨年のジャパンC、昨年の天皇賞・秋はともにスタートから600mがそれぞれ35.9秒、35.7秒と非常にゆったりした流れだったからだ。
対して、ヴィクトリアマイルが仮に良馬場で行われれば34秒台でスタートすることはほぼ確実だ。昨年は33.7秒で最初の600mを駆け抜けている。最初の600mが34.5秒だった昨年の安田記念のスタートで、大きな不利を受けたアーモンドアイだが、仮に不利がなくとも、どこまでポジションを上げられていたかは疑問が残るということだ。
「もちろん鞍上のC.ルメール騎手が促せば、もっと前で競馬することもできると思います。ただ、問題は前走の有馬記念を引っ掛かって惨敗していること。気性面の不安を露呈してしまった今、スタートから促すのは非常にリスクの高い選択です。
ルメール騎手にとっても悩ましい選択になるでしょうし、アーモンドアイの力を考えれば、無理せず後方からの競馬を選択しても、何ら不思議ではないと思いますよ」(同)
無論、今年のヴィクトリアマイルでアーモンドアイの力が抜けていることは誰もが認めるところだ。ただ過去に、同じように大本命に支持されたブエナビスタやウオッカは「自身よりも前にいた馬に敗れた」という歴史がある。
勝ってG1・7勝目となれば、シンボリルドルフやディープインパクトと並ぶことになるアーモンドアイ。ここは必勝を期しての一戦になるが、そう簡単にはいかないのかもしれない。