距離不安に早熟説、さらに外枠とエアスピネルが「キャリア最大の逆風」でも諦めない武豊騎手!「野心を持って臨む」競馬界のカリスマは奇跡を起こせるか
「(枠は)内の方が良かった……」
20日、菊花賞(G1)の枠順が確定し、エアスピネル(牡3歳、栗東・笹田厩舎)を管理する笹田和秀調教師がそう力なく話した時、おそらく多くの人がこの馬を「消し」と判断したのではないだろうか。
距離克服の大きなポイントの一つが「立ち回り」となるエアスピネルにとって、距離ロスの少ないインコースに潜り込みにくい7枠13番は「厳しい枠」と述べざるを得ないからだ。
東京スポーツの取材に「距離が心配だったら使わないよ」と強気の姿勢を崩さなかった笹田調教師だが、同時に「距離が延びてどうか、というところはある」と不安がまったくないわけではない。
そもそもエアスピネル自身が、マイルの新馬戦とデイリー杯2歳S(G2)を連勝し、朝日杯フューチュリティS(G1)でも2着。しかし、その後に弥生賞(G2)、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)と距離を伸ばすごとに着順を落とし、前走の神戸新聞杯(G2)に至っては5着と、ついにトップクラス以外の同世代にも先着を許してしまった。
距離不安説はもちろん、近頃は早熟説まで持ち上がり、いよいよ一流馬として崖っぷちに立たされた感のあるエアスピネル。もしこれで菊花賞を大敗するようなことがあれば、来年はサマー2000辺りでローカル競馬場を転々としていてもおかしくはない。
正直、そんなエアスピネルは見たくない。だが、この馬の主な勝ち鞍は、未だデイリー杯2歳Sで止まったままだ。ちなみに2012年の覇者テイエムイナズマは、この夏の小倉記念に(G3)出走している。その小倉記念には、昨年の日本ダービーで2着だったサトノラーゼンの姿もあった。
結果次第であっという間に浮き沈みする競走馬の世界では「エリートの転落」など決して珍しくはない。いや、「よくあること」とさえ言えるのだ。