JRA堀厩舎×D.レーンの活躍は制限の「恩恵」!? 解除後は苦戦必至、関東の状況は一変か……
25日、首都圏の1都3県と北海道の緊急事態宣言が解除された。4月7日に発出されてから約1か月半ぶりに全国で解除されることになった。依然として新型コロナウイルスの感染予防を講じることは必要であるが、休業要請も緩和され始め徐々に日常生活を取り戻しつつある。
JRAでは新型コロナウイルス感染対策として、無観客開催、騎手の移動制限、競走馬の他ブロック競走への出走制限を実施してきた。緊急事態宣言の解除に伴い、今後は制限の緩和が進むことが予想される。
騎手の移動制限は土日で異なる競馬場での騎乗ができなくなるもので、先週の平安S(G3)はその影響が顕著に表れていた。上位人気馬の主戦騎手の多くが日曜のオークスに騎乗するため東京競馬場に滞在したことで、オメガパフューム、ゴールドドリーム、スワーヴアラミス、ロードレガリスはすべて乗り替わりという異例の出馬表となったのだ。
ほかにも武豊騎手がNHKマイルC(G1)騎乗のため、前日の京都新聞杯(G2)でアドマイヤビルゴに騎乗できなかったりと、多くの注目を集めた騎手の制限。その陰に隠れてあまり注目されていなかったが、実は「競走馬の他ブロック競走への出走制限」も競馬界に大きな影響を与えていた。
競走馬の他ブロック競走への出走制限とは、“オープン競走を除いて”他ブロックへの出走をできなくするものである。これにより、美浦所属の馬は関東圏のレース、栗東所属の馬は関西圏のレースにしか出走できなくなった。
「ある関東の調教師は『競走馬の東西間の出走制限をもう少し維持して欲しいのが本音です。3勝クラス以下のレースは関西馬が出走できないため、今はかなりチャンスが広がっています。実際、今までの東京開催は関西馬にかなり持っていかれていましたからね。このまま続いてくれると厩舎運営も楽になるのですが……』と話しています。
この競走馬の出走制限は関東馬にとってかなり恩恵があったようです。実際に、D.レーン騎手が堀厩舎とのタッグで好成績を収めている要因のひとつに考えられます。しかし、この制限緩和も時間の問題でしょうね……」(競馬記者)
実際に、出走制限前の関東馬と関西馬の成績を確認してみると、関東での関西馬の活躍がよく分かる。特にレース数が限られて、オープン入りをかけて争われる3勝クラスの成績は以下の通りだ。
期間:2020年1月5日~4月12日
●関西馬
東京・中山 【10-9-8-110/137】 勝率7.3%
京都・阪神 【26-23-22-243/314】 勝率8.3%
●関東馬
東京・中山 【15-16-17-178/226】 勝率6.6%
京都・阪神 【2-3-5-47/57】 勝率3.5%
同期間中に関東圏で行われた25レースのうち、なんと10レースは関西馬が勝利しているのだ。関東馬は関西圏での出走自体が少ないものの、28レースのうちわずか2勝しか挙げていない。勝率でも圧倒的な差が出ていることからも、西高東低の傾向がよくわかる。
このような状況だったため、出走制限後は関東馬にとっては勝ち上がりやすい環境となったはずだ。その一方、関西馬はいつもより厳しい戦いとなっていたことが容易に想像できるだろう。
規制が緩和されれば、再度、関西馬による“関東荒し”が起こるはずだ。そのとき、勝負駆けの遠征馬は「馬券の要」になること間違いないだろう。