JRAまさかの落選……顕彰馬になれなかったスペシャルウィークのなぜ? 残された候補馬18頭の今後は

 ご存じの通り2020年度のJRA顕彰馬が発表され、キタサンブラックが196票中158票を集め選出された。

 同馬の実績と社会的影響はもはや説明するまでもないだろう。オーナーは演歌歌手の北島三郎氏で、同馬の活躍は連日のようにマスコミで紹介された。実績も申し分なく、菊花賞・天皇賞(春)2回・ジャパンカップ・大阪杯・天皇賞(秋)・有馬記念と王道のG1レースを7勝。総獲得賞金はJRA最高の18億7684万円に達している。

 実はキタサンブラックは昨年も顕彰馬の候補でありながら、145票しか集められず落選していた経緯がある。それが今年13票増えて選ばれたのは、投票者が昨年の193名から196名に増えた以外に、昨年投票しなかった記者の投票が増えたと考えられるが、この1年でどんな心境の変化があったのだろうか。

 いずれにせよ、これだけの成績を残した馬である。選出されたことでホッとした関係者も多かっただろう。

 特にオーナーである北島三郎氏の「キタサンブラックと過ごした3年間は夢のような時間でした。表彰式に向かうターフの上で、満員のお客様より多大なる声援をいただいた情景を思い出すと今でも胸が熱くなります」というコメントは、ファンの立場でも熱くなるものがある。

 しかしその裏側で、顕彰馬に選ばれなかった名馬がいる。今年候補に挙げられながら、選出されなかったのは以下の18頭。

 ブエナビスタ    95票
 スペシャルウィーク 90票
 キングカメハメハ  80票
 モーリス      67票
 ヴィクトワールピサ 34票
 ダイワスカーレット 25票
 ゴールドシップ   18票
 アグネスデジタル  13票
 ステイゴールド   10票
 シーザリオ      4票
 ジャスタウェイ    4票
 メジロドーベル    3票
 アパパネ       2票
 クロフネ       2票
 グラスワンダー    2票
 シンボリクリスエス  2票
 ダイワメジャー    1票
 ファインニードル   1票

 ファインニードルに1票入っているのは不思議だが、昨年のディープブリランテのように毎年予想外の投票があるのも事実。この18頭の中で残念なのは、顕彰馬選定の規定によりスペシャルウィークが来年から権利がなくなることだ。つまり同馬は顕彰馬に選出されるラストチャンスだったのである。

 顕彰馬の選出基準は、投票権を持つ記者196名の4分の3以上(147票以上)の票を得た馬で、記者は一人あたり0~4頭まで投票が可能となっている。

 そして今年の選定対象馬は、現役馬および競走馬登録抹消1年未満の馬は選考対象外で、1999年4月1日から2019年3月31日の間に競走馬登録を抹消した馬のみ。スペシャルウィークは1999年の有馬記念で引退しており、来年の2000年4月1日から2020年3月31日の間に競走馬登録を抹消した馬から除外されてしまうのだ。

 スペシャルウィークは90票を集めたが、既定の147票に達せず選出されなかった。ちなみに2019年は88票を獲得していたので前年比プラス2票だったが、これは投票者が前年より3名増えた分だろう。

 スペシャルウィークの成績を見てみると、17戦10勝2着4回3着2回、G1レースは日本ダービー・天皇賞(秋)・天皇賞(春)・ジャパンカップの4勝で菊花賞・宝塚記念・有馬記念で2着という成績。クラシック三冠をすべて好走し、総獲得賞金10億9262万3000円は当時の日本最高賞金、まさに名馬そのものである。

 種牡馬としてもシーザリオ、ブエナビスタ、ローマンレジェンド、トーホウジャッカルを輩出、母の父としてもエピファネイア、サートゥルナーリア、ディアドラと活躍馬は枚挙にいとまがない。これだけの実績を持ちながらも、顕彰馬への壁は高かったのである。

 過去の顕彰馬で同様の成績を収めているのはトウカイテイオーだ。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 17:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS