JRAまさかの落選……顕彰馬になれなかったスペシャルウィークのなぜ? 残された候補馬18頭の今後は
同馬は12戦9勝で5着以下が3回。皐月賞・日本ダービー・ジャパンカップ・有馬記念のG1レースを4勝。無敗で皐月賞と日本ダービーの二冠を達成するも、骨折で菊花賞は不出走。引退レースの有馬記念は劇的な勝利だったが、天皇賞は春秋ともに敗退している。
当時のトウカイテイオーの人気は確かに高かったが、実績ではスペシャルウィークも劣ってはいない。むしろ史上2頭目となる天皇賞春秋連覇の功績は大きい。現役時代の成績、そして種牡馬としての成績も評価できるものだが、顕彰馬の選定基準である「中央競馬の発展に特に貢献があった馬」という「心象」で選ばれなかったのではあれば、かなり不憫といえるかもしれない。
今年顕彰馬に投票する権利を持っていたのは、10年以上競馬報道に携わっているマスコミや新聞関係者の196名。その一覧はJRAの公式サイトにも掲載されているが、北海道から九州まで全国の競馬記者が名を連ねている。
ただ、記者の投票がJRA賞と同じで無記名というのは波紋を呼んでいる。顕彰馬に選ばれることがどれほどの栄誉か、その真意は関係者でなければわからない。しかし歴史に残る馬を決定するのだから、密室で決めるのではなくオープンな状況で投票してもよいのではなかろうか。
今年の票数を見てみると、上記18頭の中で来年以降に顕彰馬に選ばれる馬は当分なさそうだ。東日本大震災後にドバイワールドカップを勝利し、日本に勇気を与えたヴィクトワールピサ、牝馬ながらジャパンカップと天皇賞(秋)を制したブエナビスタ、国内外のマイル路線を席巻したモーリスなどが票を伸ばすかもしれないが、選定基準の147票を獲得するのは厳しいといわざるを得ない。
今後の顕彰馬は、確実に選ばれるであろうアーモンドアイ、そして将来的にはコントレイルとデアリングタクトも候補馬になるだろうか。その時の結果によっては、あらためて顕彰馬について議論が深まるかもしれない。