JRA 20度目の正直は「最下位」大敗……新種牡馬ラブリーデイ&ミッキーアイル「歓喜の初勝利」の裏で大本命モーリスの苦難続く
4日、阪神競馬場で行われた新馬戦では、新種牡馬に相次いで朗報が舞い込んだ。
「能力はあると思っていました」
そう語るのは6Rで初陣を飾ったデュアリスト(牡2歳・栗東・安田隆行厩舎)の鞍上を務めた北村友一騎手だ。父ミッキーアイルにとっては、嬉しい産駒の初勝利となった。
9頭立てで行われたダート1200mのレース。好スタートから、すんなり2番手をキープしたデュアリストは最後の直線で逃げ粘るヨッシーフェイスを3/4捉えての勝利。見守った安田調教師は「まだフラフラしたり課題は多い」と課題を挙げたが、「将来的に1600mまで持ってくれたら」と今後に期待を膨らませる走りだった。
さらに5Rでもラブリーデイ産駒のジャカランダレーン(牝2歳、栗東・中内田充正厩舎)がデビュー戦を完勝。芝1400mのレースで4馬身差の圧勝劇と、父に嬉しい初勝利をプレゼントしている。この走りには鞍上の福永祐一騎手も「上手に立ち回ってくれて、調教の良さを活かしてくれた」と高評価。中内田調教師も「いい経験ができた」と小さくはない手応えを感じている様子だ。
今年産駒がデビューする新種牡馬の中では、決して評価が高いとは言えなかったラブリーデイとミッキーアイル。JRAでは、どちらもまだ10頭に満たない産駒しかデビューしていないが、勝負の1年目で早めに勝ち星を上げたことは何よりの朗報だろう。下馬評を覆すような活躍が期待される。
その一方、ジャカランダレーンが圧勝した新馬戦で、3番人気に推されながらも最下位に大敗したのがユリシスブルーだ。
ラブリーデイやミッキーアイルと同じ新種牡馬の父モーリスには、未だ勝利がない。ドゥラメンテと並ぶ今年の新種牡馬の2枚看板と評さている存在だけに、心配な状況が続いている。
「うーん、まったく見せ場がありませんでしたね。ドゥラメンテ産駒の初勝利を飾った西村真幸厩舎の所属馬だけに期待していたんですが、こういった馬場(重馬場)がダメなのかも。4コーナーで松山弘平騎手がムチを入れていたように、早々に手応えがなくなったようです」(競馬記者)
ちなみにモーリス産駒はこの日の阪神1Rにも出走して10着に大敗……。これまで出走回数は新種牡馬の中でも断トツの20回を数えるが、合計2着4回ともどかしい状況が続いている。
「モーリスからすれば現役時代にラブリーデイには2016年の天皇賞・秋(G1)で、ミッキーアイルには2015年の安田記念(G1)で、それぞれ完勝してG1勝ちを収めているんですけどね。
他の新種牡馬ではディスクリートキャットや、クリーンエコロジーの産駒もすでに初勝利を飾っており、モーリスの出遅れムードは明らか。強い馬の子供が必ず走るわけではないのが競馬ですが、今月13、14日には産駒が売買されるセレクトセールの開催が迫っていますしね……」(同)
ちなみに明日5日、福島1R(未勝利戦)には新馬戦で3着だったマジカルステージがスタンバイ。モーリス産駒の初勝利が期待される。現役時代にG1を6勝して「アジアのマイル王」と称された“ブランド力”を落とさないためにも、そろそろ明るいニュースが欲しいところだ。