JRA「地方からの怪物」ダンシングプリンス“圧逃”14年ぶり日本レコードで連勝! 「来年のドバイに」新人調教師の視線は世界の頂点へ
12日、福島競馬場で行われた彦星賞(2勝クラス)は、1番人気のダンシングプリンス(牡4歳、美浦・宮田敬介厩舎)が優勝。圧倒的なスピードで逃げ切り、単勝1.2倍の支持に応えた。
地方から帰ってきた“怪物”の快進撃が止まらない。15頭立てのダート1150mで行われたレース。これが船橋からの中央復帰2戦目となるダンシングプリンスは、前回同様ゲートこそまずまずだったが、“異次元”のダッシュ力で難なくハナを奪うと、レースの主導権をあっさり掌握した。
4月の前走、前半600mを33.5秒という芝並みのハイペースで逃げたダンシングプリンスだが、今回も最初の600mを33.6秒(推定)で爆走。後続馬も必死に手綱を動かしながら食い下がったが、ダンシングプリンスだけが楽な手応えで最後の直線を迎えた時点で“勝負アリ”だった。
「前回、ノーステッキのまま逃げ切ったダンシングプリンスですが、今回は三浦皇成騎手も2、3度ムチを入れていましたね。といっても、独走して気を抜かさせない程度のものでした。
2番人気の2着メディクスが頑張ったため着差こそ4馬身差でしたが、着差以上の能力を感じました。周囲の関係者もザワつくほどの素晴らしい勝ち時計でしたし、上のクラスはもちろん重賞に出ても通用するんじゃないでしょうか」(競馬記者)
実際に、ダンシングプリンスが叩き出した1:06.1は、従来のレコードを0.8秒も更新するスーパーレコード。それを自らハナに立つ競馬で、“自力”で計測しているだけに価値がある。
「今日の福島のダートコースは雨の影響もあって脚抜きのいい馬場だったので、ニシノミズカゼが同じダート1150mで2歳レコードを出すなど、朝から好時計が出ていました。ですが、まさか従来のレコードを1秒近くも更新するとは……。ちなみにダート1150mの日本レコードが更新されたのは14年ぶり。展開の影響を受けにくい短距離での記録だけに、非常に価値が高いレコードだと思います」(別の記者)
そんなダンシングプリンスを管理するのは、この春にデビューしたばかりの宮田敬介調教師。本馬の前走が厩舎にとっての初勝利だった。
「宮田調教師は、前走の1勝クラスを勝った段階で『来年のドバイのゴールデンシャヒーンに行きたい』と、ダンシングプリンスに極めて高い期待を持っているとか。
本来は預かる予定はなかったそうですが、たまたま開業前に社台ファームへ挨拶に伺ったところに居合わせた縁で預かることになったそうです。今後も大事に使って、来年の春には目標を達成してほしいですね」(同)
開業前には国枝栄厩舎の調教助手として、アーモンドアイのドバイ遠征(2019年ドバイターフ(G1)1着)にも帯同した経験がある宮田調教師。来春、今度は指揮官としてダンシングプリンスと海を渡ることになるのか、「地方からの怪物」の今後に注目が集まる。