【大阪杯(G2)回顧】武豊マジックを上回った横典マジック!ベテラン騎手2人が新勢力で「世代交代」を宣言
さらに道中のペースが遅いと見るや、即座にマイネルラクリマをかわし2番手に上がって、キタサンブラックに鈴を付けに行く。その後も4コーナーで早めに並びかける徹底的マークで、最終的には完全にレースを支配しつつあった武豊騎手の思惑を打ち砕いた。
武豊騎手の逃げも見事だったが、横山典騎手の魔法のような積極策とアンビシャスがそれを上回った。前走中山記念(G2)でドゥラメンテと接戦を演じ、リアルスティールに先着した実力は伊達ではなかったということだろう。
そして、これまでG3しか勝ちのなかったアンビシャスにとっては極めて重要な重賞勝利。これで当面は賞金面を気にすることなく、使いたいレースを使えるようになっただけに今後が楽しみだ。
ショウナンパンドラ(牝5歳 栗東・高野厩舎)騎乗の池添謙一騎手もペースの遅さに反応し、直線入り口では3番手まで押し上げるも3着が精一杯。ただ、+14kgの休み明けであれだけ動けるのだから、昨年のジャパンC(G1)勝利はやはりフロックではないということか。
レースを支配しながらも2着に敗れたキタサンブラックの武豊も「まさかアンビシャスがあの位置にいるとは……」と今回は”横典マジック”に脱帽。最後は2キロの斤量差が響いた形だったが、前哨戦としては納得といった表情だった。
最後に勝利騎手インタビューで、その折り合う技術の高さを絶賛された横山典騎手は「ゴールドシップよりは楽でしたよ」と昨年までターフを沸かせた”問題児”を引き合いに出し、涼しげに笑っていた。さすがは経験豊富な大ベテラン。さすがの貫録である。
2番手勝った馬が上がり3ハロン33.4秒。逃げた馬が上がり3ハロン33.6では、後続に成す術はない。結果的に若い4歳馬がワン・ツーゴールしたが、終始2人のベテランの”技”が光った大阪杯だった。