いつまで続く無観客……JRAが「有観客開催」に踏み切れない理由とは?
JRA(日本中央競馬会)は20日、新たに9カ所の場外馬券場での「発売・払戻」を25日から追加再開することを発表した。
すでに再開をしている場外と同様、マスク着用の義務や施設内でのレース映像・オッズ情報の提供は行わないなどの制限があることは変わらないが、今回の発表では二つの大きな進展があった。
1つはそれまでメインと前日発売のみが、対象だった発売レースが各場の9~12R及び前日発売対象レースに拡大されたこと。そしてもう1つが、先週の夏開催を終えたばかりの福島競馬場と函館競馬場が「パークウインズ」(=開催していない競馬場での場外発売所の総称)として加わった点だ。
とりわけ後者は〝有観客開催〟として前進している証という意味において、喜ばしい発表と言えるのではないか。JRAでの有観客開催は、すぐそこ――。状況が整いつつあるのは間違いないのだが、実際はどの程度まで進んでいるのだろうか。
結論から言うと、「まだ時間がかかりそう」。これが実際のところのようだ。とにかくJRAが慎重な姿勢を徹底しているのだという。
有観客での早期開催については競馬記者も「着実に近づいているとは言えますが、この夏の間などの近々で……となるかと言えば、正直、微妙ですね」と表情を曇らせる。
「JRAからは2週間ごとに開催要項がリリースされていますが、我々もそれがすべてで、具体的に“いつから”という情報はそれ以外に入ってきません。それは、より主催者に近い調教師などにしても同じだそうです。
噂程度に『新潟開催の後半くらいから』なんて話が聞こえてきたりもしますが、あくまで噂レベル。その中での推測にはなりますが、ここまでのJRAの対応などを見ている限りでは、夏競馬期間中は踏み切らないと思いますね。
ばんえい競馬やボートレースが一足早く制限付きで有観客を始めていますが、JRAとはキャパが違う。ある程度の参考や指標にはなるでしょうが、完璧な〝モデルケース〟にはならないでしょう。
有観客にして万が一クラスターが発生し、それこそ開催中止なんてことになったら…。JRAにとっては『開催の維持』ということが大前提。開催中止という最悪のリスクを考えれば、簡単には踏み切らないと思います」(競馬記者)
何よりJRAが開催を中止できないのは、馬券の売り上げの一部が国に納められていることもある。
ご存じの通り、馬券の売り上げは、その1割が国庫に納付されている。コロナ禍における現在の社会情勢を鑑みた時、競馬開催の中止が日本の財政に与える影響は決して小さいものではない。