JRA 川須栄彦「乗馬経験ゼロ」の世界でいまや注目の穴騎手に成長!? 「大穴」馬券狙いに最適な特徴とは
今年の鳴尾記念(G3)が引退レースとなった10歳馬サイモンラムセスは16頭立ての16番人気ながらもあわやの4着と健闘し、ファンや関係者を驚かせた。最低人気馬を激走に導いたのは今年で11年目を迎える川須栄彦騎手だ。
川須騎手は、もともと小さい頃から野球一筋で、セカンドを守る野球少年だった。当時は競馬の知識も、ディープインパクトをスポーツニュースで知っている程度だった。
それがある日、進路を決める時期になると、体の小さい川須騎手は野球でプロを目指すのは難しいのではないかと考え始める。プロのアスリートになり働いて親孝行をしたいという夢を持っていた川須騎手は、小さくてもプロになれるジョッキーという道を選択する。
だが、それまで馬に乗ったどころか触ったこともなかった川須騎手は、競馬学校入学試験の直前に乗馬スクールの体験入学に行って、そこで初めて馬と触れ合った。そして、競馬学校の入学が決まると、経験者との差を埋めるべく乗馬スクールに通うことになる。
スクールでの経験が功を奏し、入学後に最初に行なった実技試験で3位と大健闘した。野球で鍛えていたために運動神経は良く、競馬に適応するのにそう時間が掛からなかったようだ。
模擬レース10戦の結果をポイントで争う競馬学校チャンピオンシップ2010で、総合優勝を飾るまでに上達して、プロとしてやれるメドを立てたのだった。
現在の川須騎手は、人気薄を上位に持ってくる穴騎手として存在感を見せつつある。波乱の立役者となって高配当を演出することも珍しいことではない。
「今年の川須騎手の複勝率は.163と低いのですが、一桁人気に限定した場合は.290と悪くないんです。同じく昨年も一桁人気台に限定すると複勝率は.273で、安定的に複勝圏内に食い込んでいました。
二桁人気になるとさすがに成績は下がりますが、馬質を考えると好戦しているといえるでしょう。川須騎手の場合、騎乗馬が人気の盲点になりやすいだけに、穴党には魅力的な騎手ですね」(競馬誌ライター)
最近の激走例を挙げると、7月19日に阪神競馬場で行われた11R中京記念(G3)で、9番人気エントシャイデンを3着に持ってきている。1着に18番人気、2着に6番人気が入って3連単は330万超えの大荒れとなった。この日の川須騎手はノリに乗っていて、最終レースでも6番人気ロードエクスプレスを2着に持ってきて、10番人気の勝ち馬との馬連は1万5480円と万馬券。
このように川須騎手が人気薄を上位に持ってくると、他の人気薄も連れてくるあたりも大きな特徴かもしれない。