C・ルメール騎手「桜花賞(G1)は勝てる」大本命・メジャーエンブレムの実力と「伝説」
75年、桜花賞
「後ろからは何も来ない」と、アナウンサーは三度叫んだ
10馬身でも収まらない歴史的大差のゴール
テスコカビー
スピードの美学
美しさはいつも他を置き去りにする
桜の女王へ――(2013年JRA CM「The LEGEND」より抜粋)
「いや、強かったですね」
そう振り返るのは、今年の桜花賞(G1)で最大の本命となるメジャーエンブレムを管理する田村 康仁調教師(美浦)だ。
前走2月のクイーンC(G3)、単勝1.3倍の圧倒的人気となった昨年の2歳女王メジャーエンブレムは、さらなる進化を見せつけた。抜群のスタートからハナを奪うと、後続に影も踏ませぬまま5馬身差の圧勝。
従来のレースレコードを1秒5も更新する「異次元の走り」は、完全なる”一強”を再確認させた。
一体、どこまで進化するのか……桜花賞は、もはや勝つだけではない。「勝ち方」さえ問われる歴史的名牝の領域へと踏み出したメジャーエンブレム。その「モンスター級」ともいわれる”圧逃的”の強さは、史上唯一桜花賞を大差勝ちした女王「テスコカビー」の走りを彷彿とさせる。
1975年、桜花賞まで6戦5勝。レコードを更新すること2回。唯一敗れた相手が、後の日本ダービー馬カブラヤオーだけという化け物じみた戦績を誇ったテスコカビー。迎えた桜花賞の単勝オッズはなんと1.1倍。単勝支持率は72.4%に上った。
レースはスタートすぐにスピードの違いで先頭にたったテスコカビーが、後続を引き連れて”殺人ラップ”を刻んでゆく。他馬も引き離されてなるものかと必死に食らいついたが、4コーナーを回る頃には次々と脱落していった。
直線に入ると、もう完全に独走状態。実況を務めていた杉本清が、直線半ばであまりにも大差がついてしまったため「後ろからは何にも来ない!」と3度繰り返したという話は、あまりにも有名だ。
『先頭はテスコカビー。これは強い、強い強い!これは強い、これは強い!赤の帽子ただ一つ――』