JRA藤沢和雄厩舎のディープインパクト産駒が「ダート」で覚醒! 超新星の上がり馬がアメリカンファラオ2頭の牙城を脅かす!?
ダート界に超新星が誕生した。
6日、札幌競馬場で行われた1勝クラス(ダート1700m)を6番人気の伏兵ゼノヴァース(牡3、美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝。勝ち時計は1分44秒3。2着に4番人気ブロッコリー、3着に11番人気の大穴インナーアリュールが入った。
3連単の配当が28万8240円の大波乱となったのも無理はない。前にいた上位人気馬が揃って敗れ、3着にも後方から追い込んだ馬が穴を開けたように、先行勢には厳しいレース展開だった。
そしてこの厳しい流れを作り出したのが、2着馬に大差をつけて楽勝したゼノヴァースだ。
14頭立てのレースを6番手から追走。ただ1頭違った手応えで3コーナーを待たずに進出を開始した。外から上がって来たゼノヴァースがそのまま先頭に立って直線に入ると、後続との差は広がる一方。手綱を取った団野大成騎手が後ろを振り返るほどの大楽勝でゴールを駆け抜けた。
3歳ダート戦線はユニコーンS(G3)を5馬身差で圧勝したカフェファラオ、7月に行われたジャパンダートダービー(G1)でこれを破ったダノンファラオがトップクラスの評価を得ている。アメリカンファラオ産駒の2頭に対し、ゼノヴァースはディープインパクト産駒である。
同産駒のダート重賞は2011年のレパードS(G3)をボレアス、18年のJBCレディスクラシック(G1)をアンジュデジールが優勝しているが、多数の芝G1を勝利していることを考えると非常に珍しい部類だろう。
「ゼノヴァースは今回、初のダート挑戦となりましたが、非常に強い勝ち方を見せましたね。今開催の札幌ダート1700メートル戦の良馬場において、古馬重賞であるエルムS(G3)の次に速いタイムで圧勝したように、勝ち時計も優秀です。
直線でも軽く追っただけですし、上のクラスでも十分にやれそうです。次のレースはどこかまだわかりませんが、一線級との対決が楽しみですね」(競馬記者)
また、ゼノヴァースは昨年12月に行われた中山の未勝利戦(芝2000m)を2着に2馬身半差をつけて2分0秒8の好時計で勝利した素質馬でもあった。これを評価された京成杯(G3)では3番人気に支持されたが、9着に敗れ、その後は1勝クラスを2戦して2着、8着と連敗。その後、陣営が選択したのが、今回の初ダート挑戦だった。
新たな可能性を見せる勝利でダート界の超新星として名乗りを挙げたゼノヴァース。
秋の活躍が見込まれる夏の上がり馬として注目の存在となったのではないか。