JRA武豊と名牝の繰り返す「すれ違い」再び!? 重賞勝利を逃した「鞍上交代劇」を“思い出”で払拭できるか
武豊騎手が、アドマイヤベガで日本ダービーを連覇したのは約20年前の話である。
10度目の挑戦でついに悲願を達成したスペシャルウィークに続く、2年連続のダービー制覇は史上初の快挙となった。
その後も、アドマイヤグルーヴ、アドマイヤマックス、スズカフェニックス……「武豊」×「橋田満」と言えば、過去に複数のG1馬を世に送り込んだコンビであった。
今週の新馬戦に出走を予定しているメモリーズ(牝2歳、栗東・橋田満厩舎)も、鞍上に武豊騎手を配し、名コンビの躍進を願うファンも少なくないはずだ。
メモリーズの母フレンチリヴィエラは、これまでに2頭の重賞勝ち馬をターフに送り出した名牝だ。産駒の重賞ホース・スズカコーズウェイとカデナはともに、武豊騎手がデビュー戦の手綱を握っている。
そんな縁起のいい組み合わせだけにメモリーズの出世の期待も高まるが、実は母フレンチリヴィエラと武豊騎手は、なんとも微妙な“すれ違い”を繰り返しているという。
「メモリーズの兄スズカコーズウェイはオープンクラスに上がるまで、すべて武豊騎手の手綱で勝利していました。しかし、オープン入り後重賞初挑戦となった京王杯スプリングC(G2)で、武豊騎手は2番人気のファリダットに騎乗。スズカコーズウェイが8番人気だったので、ある意味では当然の選択と言えますが、当時の東京は極端な外伸び馬場でした。
その結果、2枠4番を引いたファリダットは直線でインを突くも3着止まり。一方、6枠11番の“好枠”を引いたスズカコーズウェイはスムーズに外に持ち出されると、力強い差し脚で1着。結果的に、唯一の重賞制覇を後藤浩輝騎手に譲ることになってしまいました」(競馬記者)
また、スズカコーズウェイの弟カデナも初勝利は武豊騎手だ。しかし、続く百日草特別(500万下)に挑んだ際、武豊騎手は米国のフィリーズ&メアターフ(G1)にヌーヴォレコルトで参戦。福永祐一騎手に乗り替わったカデナは、そのまま京都2歳S(G3)と弥生賞(G2)を連勝している。
一方の武豊騎手は自身のブログで、当時「アメリカの芝路線はそれほど強くないのですが、今年は揃っています。さらに、試練の大外枠」と語ったように、またもや枠の運に見放され11着と惨敗してしまったのだ。
2頭の重賞ホースを送り出した名牝フレンチリヴィエラと、数々のビッグタイトルを手にしている武豊騎手。しかし、両者の歴史はホロ苦い“すれ違い”に彩られているようだ。
そんな両者が再びコンビを組むメモリーズのデビュー戦。果たして、武豊騎手は今度こそ名牝の母に重賞勝利をプレゼントできるだろうか。本馬には “思い出”を塗り替えるような活躍を期待したい。