【徹底考察】ウインファビラス&レッドアヴァンセ 「歴史」を振り返れば、まだまだ捨て切れない実力馬たち
レッドアヴァンセ編
ウインファビラスと同じく、チューリップ賞(G3)で大敗を喫したレッドアヴァンセも巻き返しに燃えている。
過去にウオッカやレッドディザイア、マルセリーナなどを送り出しているエルフィンS(OP)を勝った勢いで挑んだチューリップ賞は、3番人気ながら出遅れが最後まで響いて8着。それも馬体重が-14kgと、情状酌量の余地はありそうだ。
しかし、それでもメジャーエンブレム、シンハライト、ジュエラーといった「三強」からは大きく水を開けられてしまった格好。巻き返すには、馬体の回復がカギを握ることに間違いはない。
実はこの馬は、昨年の桜花賞(G1)で2着したクルミナルに状況がよく似ている。
昨年のクルミナルもまた、エルフィンSを快勝した勢いでチューリップ賞に挑んだが、11着大敗と人気を大きく裏切った。そんな経過もあり桜花賞は7番人気に甘んじたが、見事巻き返しに成功。その後のオークスでも3着に好走し、桜花賞の走りがフロックでないことを証明して見せた。
昨年のクルミナルにも言えたことだが、本馬のエルフィンSの勝ちっぷりも先述したような歴代の名馬たちと比べても遜色のない、極めて優秀な内容だ。極端なスローペースを後方から追走しながらも、上がり3ハロン33.3秒の脚で全馬を差し切っている。
実際に敗れたチューリップ賞でもシンハライト、ジュエラーと0.1秒差の上がり3ハロン33.1秒の末脚を見せており、切れ味だけなら上位馬に十分に対抗できる。本番で馬体が回復していれば、あとは名手武豊の乗り方一つで「三強」に割って入る可能性はあるはずだ。
【血統診断】
母エリモピクシーはリディル、クラレント、レッドアリオン、サトノルパンらことごとく重賞ホースを送り出すなど、日本で屈指の成功を収める名牝。産駒は若くからマイルを中心にコンスタントに成績を残し、古馬になってからも一線級で走り続けている。とにかくハズレのない優秀な一族だが、逆に言えば”大当たり”がないのも特徴だ。G2、G3といった重賞タイトルは「これでもか」というように数多く積み上げてきたが、如何せんG1になると一枚足りない結果が続いている。桜花賞の巻き返しへの期待が高まる本馬だが、もしかしたらそんな一族の”ジンクス”が最大のネックになるかもしれない。ディープインパクト×ダンシングブレーヴという配合の本馬の全兄サトノルパンは、昨年の京阪杯(G3)でこの春の短距離王ビッグアーサーを撃破しているスプリンター。従って、本馬もオークスよりは桜花賞の方が、遥かにチャンスがありそうだ。
(監修=下田照雄(栗東担当) 永谷研(美浦担当))