何故エネイブルは昨年の凱旋門賞で敗れたのか。レース前、ゴスデン調教師「これはまずいことになった……」JRA・C.ルメールも指摘する「弱点」とは
「馬場が不良になったとき、現実と向き合わなければいけません」
これは9月30日に『デイリーミラー電子版』で報じられたA.オブライエン調教師のコメントである。週末のパリは雨予報で、レース当日の馬場は悪化することが予想される。つまり、ラブは道悪を嫌って回避することになったのだ。
その一方、エネイブルは重馬場で行われた17年の凱旋門賞を制しており、稍重でもG1・4勝を挙げている。これまでの実績を考えれば道悪巧者に思われるが、実は得意とは言えないかもしれない。
「昨年の凱旋門賞は『重馬場』で行われ、エネイブルはヴァルトガイストの2着に敗れました。この時、L.デットーリ騎手は『あまりにも馬場が悪過ぎたのが響いた』と敗因に馬場を挙げています。馬場状態は重の発表でしたが、実際はそれ以上に馬場が荒れていたことが能力を発揮しきれなかった原因のようです」(競馬記者)
後に、ゴスデン調教師は「レース前にデットーリ騎手と馬場を歩いたのですが、つえが地中深くまで刺さるのを見て『これはまずいことになった』と思いました」と明かしている。多少の道悪はこなしても、極端に荒れた馬場はエネイブルの守備範囲外と言えそうだ。
また、C.ルメール騎手も『スポーツ報知』の取材でエネイブルについて、「めちゃくちゃ強い。昨年の馬場は彼女にとっても楽じゃなかった。“普通の馬場”なら勝てる」とコメントしている。普通の馬場と条件をつけていることからも、不良馬場になればエネイブルも苦戦必至だということが読み取れるだろう。
これらのことから、今年の凱旋門賞でエネイブルの勝敗を左右するのは、馬場状態になりそうだ。
ライバルの回避により1強状態になったエネイブルにとって、最大の敵は「天気」なのかもしれない。