JRA【毎日王冠(G2)展望】サリオス&サトノインプレッサは「3歳低レベル」の評価を覆せるか。立ちはだかるのは「東京8勝」のアノ馬
天皇賞・秋(G1)やマイルCS(G1)へとつながる重要なステップレース、毎日王冠(G2)が11日、東京競馬場で開催される。注目は、今年の日本ダービー(G1)で掲示板に載った3歳馬2頭の存在だ。
昨年の朝日杯FS(G1)覇者で、皐月賞(G1)とダービー連続2着のサリオス(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)は、C.ルメール騎手とタッグを組み、初めて古馬に挑む。
ダービーこそコントレイルに3馬身離されたが、皐月賞では半馬身差の大接戦を演じた。その走りぶりから、サリオスにとって距離はマイルから2000m以下がベストというのは明らか。菊花賞(G1)には向かわず、古馬相手の中距離路線に切り替えたことがいい方向に転ぶだろうか。
もし不安があるとすれば、夏競馬から現3歳世代が古馬の壁を打ち破れていないことだ。札幌記念(G2)では、ブラックホールが9着。新潟記念(G3)ではワーケアが10着に敗れるなど、春のクラシック戦線で相まみえてきた馬たちが、古馬相手にことごとく馬群に沈んでいる。
もしサリオスが凡走でもすれば、世代全体のレベルが疑われる可能性もでてきそうだが、1週前追い切りの動きからその心配はないだろう。サリオスはC.ルメール騎手を背に、美浦南Wコースで5ハロン65秒5-ラスト11秒8を馬なりで力強く駆け抜けた。
『スポニチ』の取材に対し、ルメール騎手は「楽にいい時計が出た。コンディションはいいと思う。息の入りも良かった。体がムキムキで、春のクラシックより距離が短くなるのは良さそう」と手応えをつかんだ様子。コントレイルととともに同世代では「別格」と言われ続けてきたサリオス。欲しいのは朝日杯FS以来の「1着」だけだ。
同じく3歳馬でダービーでは4着に好走したサトノインプレッサ(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)は、戸崎圭太騎手との初コンビで古馬に挑む。
前走のダービーではコントレイルに0秒8差と完敗を喫したが、サリオスとの差はわずか0秒3。この馬にとってもベストの距離はマイルから2000m。ここで好勝負ができるなら、今後が楽しみになる。
1週前追い切りでは栗東CWコースで、タイセイトレイル(京都大賞典に出走予定)に1馬身遅れたが、長めから負荷をかけられ、6ハロン82秒0-ラスト13秒0をマークした。鞍上の戸崎騎手は、16年ルージュバック、そして昨年のダノンキングリーで制した相性がいいレース。2年連続3度目の毎日王冠制覇を狙う。
古馬の代表格はダイワキャグニー(牡6歳、美浦・菊沢隆徳厩舎)だろう。
前走のエプソムC(G3)で重賞初制覇を飾り、東京では通算「8-0-1-8」というコース巧者。なかでも1800m戦は「5-0-0-3」と最も得意としている。
東京開幕週で先行馬に有利な馬場なら、得意の先行力を武器に3歳勢2頭に立ちはだかる可能性は決して低くないはず。6月以降に重賞4勝と好調の内田博幸騎手を背に、遅咲き6歳馬が重賞2連勝を狙う。