【徹底考察】桜花賞(G1)メジャーエンブレム 最強女王に「死角」あり。弱点は「最後の直線」に隠されている!?
道中で「スピードを抑える」ということは、言い換えれば「末脚を溜める」ということにつながる。初重賞で直線の長い東京コースともなると「脚をできるだけ溜めたい」と考えるのは騎手として間違ってはいないが、結果的にアルテミスSはデンコウアンジュの上がり3ハロン33.3秒の豪脚に屈して2着だった。
つまり「道中でスピードを抑え、脚を溜めたが、結局は切れ負けしてしまった」ということだ。
実際にすぐにこの敗因にたどり着いたルメール騎手は、以後、メジャーエンブレムを必要以上に抑えることはしていない。それは上記のラップを見れば明らかで、これがデビュー戦から手綱を取るルメール騎手が辿り着いた本馬のスタイルなのだろう。
では何故、メジャーエンブレムが切れる脚が使えないのかは、以下の【血統診断】をご覧頂きたい。
【血統診断】
本馬の父ダイワメジャーは数多くのサンデーサイレンス系種牡馬の中でも、特に遺伝力が強い種牡馬だ。ダイワメジャー自身は有馬記念で3着、皐月賞や秋の天皇賞も勝ったが、マイルG1を3勝したように本質的には超A級のマイラー。産駒も父の強い影響を受け、活躍馬は軒並みマイル前後を主戦場にしている。母型のスタミナに関係なく、ある程度距離に限界がある産駒ばかりになる原因は、おそらく前向き過ぎる気性のせいだろう。
そして、もう一つ特徴的なのが、父同様切れる脚が使える産駒が少ないことだ。ダイワメジャー産駒は長くいい脚が使える分、純粋な切れ味勝負になると分が悪い傾向がある。前向き過ぎる気性のせいもあって、カレンブラックヒルやコパノリチャードのような逃げ、先行馬が多い。中には、ダイワマッジョーレのように末脚に懸ける馬もいるが、基本的には「前が止まれば」という条件が付く。本馬も他のダイワメジャー産駒の御多分に漏れず、父の影響を強く受ける一頭。むしろ今のところは「ダイワメジャー産駒の完成形」と言えるほど、父の傾向が強く出ている。