JRAアーモンドアイ8冠達成に「疑問」の声続々……天皇賞・秋「忖度は」「牝馬限定戦は」「海外は」見直されるべき「8冠の定義」
先週の天皇賞・秋はG1馬7頭が集結した豪華メンバーと言われていたが、ウインブライトらのように明らかに次を見据えている馬や、フィエールマンやブラストワンピースのように2000mが短いと考えられる馬、すでにピークアウトが疑われている馬など、不安が小さくないG1馬も目立った。
さらに女王アーモンドアイの威光に恐れをなしたのか、それとも8冠達成の“空気”を読んで忖度したのか、3歳馬のサリオスや春の安田記念でアーモンドアイを負かしたグランアレグリアなどの今が旬の有力馬が、次々と別路線を選択。
その結果、今年の天皇賞・秋は12頭立て。7枠の1頭目に入りながらも9番からのスタートだったアーモンドアイだが、もし18頭のフルゲートだったら13番に相当した。スタート後、すぐにコーナーのある東京の2000mだっただけに、少なからず影響があったことは間違いないと言えるだろう。
史上初の無敗三冠を達成したシンボリルドルフが1986年に引退してから34年間、「7冠」は1つの見えざる壁として、数多の歴史的名馬の前に大きく立ちはだかった。
古馬グランドスラムを達成し世紀末覇王と称されたテイエムオペラオー、史上2頭目の無敗三冠を達成した英雄ディープインパクト、牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制したウオッカ、牝馬三冠に加え史上初のジャパンC連覇を成し遂げたジェンティルドンナ、武豊騎手と一時代を築いた賞金王キタサンブラック――。
これら歴代の7冠馬は、いずれも「1番人気のG1で敗れた経験」を持つ。逆に述べれば「8冠」のチャンスは十分にあったといえる。
だが、まるでそれが“定め”であるかのように、あと一歩のところで7冠の壁が立ち塞がったため、時が経つほどに前人未到の8冠の価値が大きく高まっていったというわけだ。逆に述べればだからこそ、こういった議論も起こるのだろう。
アーモンドアイの主戦C.ルメール騎手や管理する国枝栄調教師、そして多くのメディア、識者、ファンがこの記録を認め、8冠を称えている以上、最強女王の新記録は紛れもない偉業だ。
しかし、牡馬・牝馬、国内・海外、芝・ダートなど多様化した近代競馬において、競馬を主催するJRAなどが「8冠」を公式の記録として扱うのであれば「8冠の定義」は今一度見直される必要がありそうだ。