JRA【議論】アーモンドアイら「牝馬最強時代」到来は是なのか!? 「8戦6勝」牡馬相手にG1勝ちまくりの「新記録」達成も意外な現実
現在、JRA(日本中央競馬会)では、2歳戦とハンデ戦を除くほぼすべてのレースにおいて、牡馬に対して牝馬は2kg減のアローワンスが定められている。これを「1.5kg減に改定してはどうか」という議論だ。
一般的に斤量差は「1kg=1馬身」と言われているが、仮に牝馬と牡馬の差が0.5kg詰まったとすれば理論上、先週の天皇賞・秋の1着アーモンドアイと2着フィエールマンの「半馬身差がほぼなくなる」ということになる。
一見、暴論に聞こえるかもしれない。だが、アーモンドアイらが登録を済ませている12月の香港国際競走や、英国最大のレース・キングジョージ6世&QES(G1)では、牡馬牝馬が1.5kg差に定められている。
また、3歳馬が優勢だったフランスの凱旋門賞(G1)では、2017年から3歳馬の斤量に対して0.5kgが加算されており、長期的な状況に応じて斤量を改定するのは、世界的にも決して珍しいことではない。
「日本でも2001年からマイルCSの古馬と3歳馬の斤量差を2kgから1kgに改定しているように、決して斤量ルールに変化がないわけではありません。
ただ、今年のここまでの競馬を振り返ると、確かに大レースでは牝馬の活躍が目立ちますが、それ以下のレースでは牡馬と牝馬で、それほど大きな差がない印象です。仮に1.5kg差にするにしても、特定のレースに限定するのが妥当でしょうね」(同)
実際に、今年のすべてのレースにおいて牡馬・セン馬が1837勝であることに対して、牝馬は1099勝と大きく水をあけられている。これだけを見ても、今すぐ牡馬牝馬を1.5kg差にするのは、あまりに早計だろう。
牝馬が牡馬と互角に戦えているのは、あくまで芝のレース(牡馬・セン馬754勝、牝馬667勝)のみ。ダートでは牡馬・セン馬983勝、牝馬 428勝と2倍以上牡馬が優勢であり、障害レースに至っては今年、牝馬が勝ったのはわずか4レースしかない。
今秋の古馬G1を振り返ってもスプリンターズS、天皇賞・秋ともに牝馬が1、2番人気を独占しており、牡馬劣勢の感は否めない。だが、相対的にはやはり現行のルールを継続し、コントレイルやフィエールマン、サリオスら牡馬の奮起を期待するのが妥当だろう。