JRA松田国英「人を殺したわけじゃないけど……」ダートの怪物が引退に追い込まれた“不治の病”が「期待の新星」にも。定年まで4か月の名伯楽に再び試練が……
4日、ダートの新星・ハギノアレグリアス(牡3歳、栗東・松田国英厩舎)が両前肢に屈腱炎を発症したことが明らかになった。
松田調教師は「症状の面積は小さいようなので、復帰はできそう」とコメント。復帰時期は未定だが、引退という最悪の事態は避けられそうだ。
3連勝で白川郷S(3勝クラス)を制し、オープン入りを決めたハギノアレグリアス。同レースで記録した1分56秒3は、中京ダート1900m(重馬場)のレコードタイムとわずか0秒4差の好時計だった。当日の馬場状態が良だったことを考えれば、それ以上のパフォーマンスとも言えるだろう。2着のキーフラッシュとは1馬身半差だったが、3着馬はさらにそこから7馬身離されたことがそれを物語っている。
現在、ダートの有力馬を多く管理する松田厩舎。ダートで新境地を切り開いたG1馬・タイムフライヤー、3歳牝馬のハギノリュクスといった注目馬もいる。その中でも、ハギノアレグリアスは3歳牡馬のダート勢力図を塗り替える存在と期待されていただけに、無念の戦線離脱となった。
過去に松田厩舎が輩出したダートの大物といえば、クロフネが思い出される。
2001年、日本ダービー(G1)が外国産馬にも開放されることになった。それに合わせて、初年度からマル外がダービーを席巻する期待を込めて命名されたのが「クロフネ」だ。
毎日杯(G3)、NHKマイルC(G1)と連勝し、迎えたダービーでは2番人気に支持される。当時、フランスに滞在していた武豊騎手がクロフネの騎乗にあわせて、帰国したことも話題となった。しかし、レースは最後の直線で伸びあぐねて5着に敗れた。
秋の目標はこの年から外国産馬に2頭の出走枠が解放された天皇賞・秋(G1)に設定。しかし、この2枠にアグネスデジタル、メイショウドトウが入ったことで、クロフネの出走は叶わなかった。
だが、これが伝説の幕開けとなった。
翌年のフェブラリーS(G1)に参戦する予定のあったクロフネは、天皇賞・秋の前日に行われる武蔵野S(G3)で初ダートに挑む。このレースで2着のイーグルカフェに9馬身差をつける圧勝。さらに勝ち時計は従来のレコードを1秒2更新する驚愕の走破タイムだった。この走りに、武豊騎手は「他の馬とは次元が違うというか、レベルが違いすぎた」とコメントを残した。