JRA免許「自主返上」の過去。“ピカピカ”で話題となった西田雄一郎が調教師合格。夏の騎乗回数絞らず試験に臨めた理由とは……
10日、JRAは2021年度の新規調教師免許試験合格者を発表した。新たに7名の新人調教師が誕生することとなる。
昨年も合否の結果に注目が集まった蛯名正義騎手は3度目の受験で悲願の合格。他にも3名の現役ジョッキーが調教師へ転身する予定だ。
その中には「千直の鬼」として知られる西田雄一郎騎手の名前もあった。
現在46歳で、通算224勝の実績を持つ西田雄一郎騎手。重賞3勝のうち2勝はアイビスサマーダッシュ(G3)で挙げたもので、重賞に限らず千直レースを得意としているジョッキーだ。
昨年、千直で行われた雷光特別(1勝クラス)をピカピカに騎乗して制した際には、ヘルメットを外してウイナーズサークルに登場。ピカピカのゼッケンを顔の横に掲げ、ファンに笑顔で応えたシーンは印象的だった。レース名と馬名に関連性があるだけでなく、自身の頭もネタにしている姿に好感を持ったファンも多いだろう。
今となっては「千直は西田を買え」とまで言われるジョッキーだが、意外な経歴の持ち主である。
1995年にデビューした西田騎手は、翌年の七夕賞(G3)をサクラエイコウオーに騎乗して重賞初制覇。デビュー2年目で重賞を勝ったことで順風満帆な騎手生活に思われたが、その状況は一変する。
1998年、自動車運転でスピード違反をして、出頭命令が下された。その出頭前に再び同じ違反をしたことで、常習性を疑われてしまい起訴されることになった。その責任を取る形で西田騎手は騎手免許を「自主返上」し、引退の道を選択した。
その後はノーザンファームの支援もあり、宮城県の山元トレーニングセンターで勤務。6年間、牧場スタッフとして働き、2005年に騎手免許を再取得して表舞台にカムバックを果たした。
復帰後、初重賞制覇となった2010年のアイビスサマーダッシュで勝利騎手インタビューを受けた際には「華のない、地味な、髪の毛の薄いジョッキーですが、これからも頑張ります」と笑いを誘うコメントで、復帰をアピールした。
このような経験が西田騎手の調教師試験に大きな影響を与えているはずだ。