キセキ試行錯誤の1年も「武豊不在」が痛恨!? 父ルーラーシップが残した伝説の3連発…… 有馬記念(G1)「逃げ濃厚」も台無しの可能性
27日、中山競馬場で行われる有馬記念(G1)は、キセキ(牡6、栗東・角居勝彦厩舎)が展開の”カギ”を握る。
前走のジャパンC(G1)では、1000m通過57秒8という超ハイペースで大逃げを披露。これにより、底力勝負の過酷な流れとなった結果、展開の紛れがほぼなくなった。アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという実力馬が、そのまま3着までを独占したこととも無関係ではないだろう。
当然ながら有馬記念の舞台でもキセキの出方が気になるところだが、あそこまで暴走をしてしまったとなると、おそらくまた逃げが濃厚だ。何事もなければ、再び大逃げでレースを盛り上げてくれることになりそうだ。
その一方で、勝ち負けを考えた際に、必ずしも「逃げ」が好結果を生むのかとなると、それには些かの疑問があることも事実だ。現実に2年前の有馬記念で逃げて5着と敗れている。
また、今年のキセキが「試行錯誤」の1年だったことも忘れてはならない。
元々おとなしい気性ではなかったとはいえ、昨年の有馬記念を出遅れ、今春の阪神大賞典(G2)ではゲートから出ないというアクシデントも発生した。陣営からも一時は大目標としていた天皇賞・春(G1)さえも白紙という言葉が出たほど深刻な状況に陥った。
そんな悩める陣営が頼みとしたのが武豊騎手だ。これを機に主戦だった川田将雅騎手からバトンタッチ。武豊騎手を背にゲート試験を無事合格したキセキは初コンビとなった春の天皇賞で6着。道中で落鉄もあった中で一筋の光明が見えた。
次走の宝塚記念で武豊騎手は大胆なモデルチェンジを試みる。スタートを無難に決めると出して行くことはせず後方待機策を選択。クロノジェネシスには離されたものの、3着モズベッロには5馬身差をつける好結果へと導いた。
秋の始動戦・京都大賞典(G2)では、武豊騎手が凱旋門賞参戦のため、浜中俊騎手の代打となったが、同じく後方待機策からグローリーヴェイズの2着と悪くない内容。再び武豊騎手へと戻った秋の天皇賞は、まくりの決まりにくい東京競馬場ということもあり、先行して5着なら次走以降も期待が持てそうな雰囲気でもあった。
年齢を重ねて気の悪さが表面化しつつある中で、前半からアクセルを全開にしてしまったのは懸念材料である。武豊騎手の手で「ニューキセキ」への変身を遂げようとしていたタイミングで逃げてしまったことは、折角の再教育が台無しとなりかねない。