【徹底考察スペシャル】香港カップ(G1) モーリス「2000mを克服したマイル王にもはや死角なし?完勝の天皇賞・秋で世界のR.ムーア騎手が認めた『ミス』とは」
例えば先週のチャンピオンズC(G1)で1番人気だったアウォーディーは最後のゴール寸前で先頭に躍り出ながらも勢いに乗れず、サウンドトゥルーに強襲を許した。これは前哨戦のJBCクラシックの最後にも見られていた傾向で、レース後に武豊騎手は「ソラを使うのを想定して乗ったけど、それでもすごい止まり方」と嘆いている。
無論、これは極端な例だが多くの馬は、大なり小なり集団から抜け出してしまうと本気で走らない傾向がある。実際に天皇賞・秋のモーリスも早めに抜け出してから、ムーア騎手が気を抜かせないように相当ムチを入れている。
すでに10勝を上げている本馬だが、後続を離して勝ったのは、楽勝だった新馬戦とダービー卿CT(G3)だけ。その内、好位から早めに抜け出して勝負を決めてしまったというレースは新馬戦以来だっただろう。ただ、そういった危機感を感じさせなかったのは、それだけモーリスが突き抜けた能力を有しているからである。
血統的な要素に加え、天皇賞・秋での走りからも2000mに関してはまったく問題ない。マイル戦とはいえ、沙田(シャティン)競馬場では2戦2勝。死角らしい死角は見当たらず、唯一敗れるとすれば、札幌記念で許したような逃げ切りをエイシンヒカリに食らった場合かもしれないが、無名だったネオリアリズムが逃げることとはわけが違う。
冒頭で述べた通り、これで引退レースとなるが「最後まで強いモーリス」が見られる可能性はかなり高いといえるだろう。
(監修=永谷研(美浦担当))