JRA福永祐一「G1を勝てる」シンザン記念(G3)完勝ピクシーナイトを絶賛! ファンが唸った「神騎乗」の裏にインディチャンプを大成させたチーム力
10日、中京競馬場で行われたシンザン記念(G3)は、4番人気のピクシーナイト(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)が快勝。鞍上の福永祐一騎手はこの日3勝目、これが通算2400勝の節目となった。
15頭立てで行われた芝1600mのレース。好スタートを決めたピクシーナイトは、福永祐一騎手が「周りの出方次第でしたが『逃げる形もありかな』と思っていました」と語った通り、積極的にハナへ。結果的に、これが一番の勝因となった。
前半800m通過の46.3秒は、同コースで前残りの決着となった5日の京都金杯(G3)の46.9秒とほぼ同じスローペース。競り掛けてくる馬もおらず、レースの主導権を完全に掌握したピクシーナイトは、最後の直線でも後続をまったく寄せ付けずに重賞初勝利を飾った。
この勝利には、ネット上の競馬ファンからもSNSや掲示板を通じて「逃げたことが最大の勝因」「周りが良く見えているね」「これは神騎乗」と、鞍上の福永騎手に称賛の声が続々……。
昨年、コントレイルとのコンビで無敗の三冠を成し遂げた福永騎手だが、いよいよ円熟味を増してきた印象だ。
「前走で逃げた馬が1頭もおらず、どの馬が主導権を握るのか注目されたレースでしたが、好スタートから積極的にハナに立った福永騎手の作戦が上手くハマりましたね。
ただ、これだけ見事にスタートが決まったのも、福永騎手が『前回、スタートの駐立が悪かったので陣営が重点的に修正してくれたおかげで、非常にいいスタートを切れた』と話していた通り、出遅れた前走から立て直した陣営の努力があってのもの。まさにチーム力で掴んだ重賞勝利だと思います」(競馬記者)
ピクシーナイトが所属するシルクレーシング、音無厩舎、そして主戦・福永騎手といえば一昨年の最優秀短距離馬インディチャンプとまったく同じチームだ。
本馬もかつてはスタートに難のある馬だったが、レースを重ねるごとに改善。古馬になってからは前に行って良し、後ろに行っても良しという高い自在性でマイル王の座に上り詰めた。
ただ、厩舎の大先輩の重賞初制覇が4歳春の東京新聞杯(G3)だったことに対して、ピクシーナイトは3歳の春に早くもタイトルをゲット。福永騎手も「G1を勝てる能力を持っている馬という認識はある」と極めて高い評価を与えている。
「これからどういったレースができるようになるか、この『次』ですね。そこ次第で、どの距離のG1を狙っていけるのか見えてくるのかなと思います」(福永騎手)
1400mのデビューはインディチャンプと同じ。先輩はそこからマイルを主戦場としたが、後輩は果たしてどこへ向かうのか。勝ち馬にアーモンドアイやジェンティルドンナといった三冠馬も名を連ねる出世レースから、“インディチャンプ2世”が大きく羽ばたく。