「世界最高賞金レース」がトライアルに大暴落!? まるでアーモンドアイ、コントレイルがいないJRAジャパンC……「レースに出る必要があるのか」辛辣意見も
24日、アメリカのガルフストリームパーク競馬場でペガサスワールドC(G1)が開催される。
今年で5回目を迎えるペガサスワールドCは、賞金総額1200万ドル(約12億円)という世界最高賞金額を謳い文句に誕生した。一般的な競走とは異なるのが、出走馬の関係者は出走枠を得るために100万ドルを支払うという点だ。12頭立てで行われるため、プールされた1200万ドルが賞金として分配されるという仕組みになっている。
だが、2019年から賞金総額は900万ドル、出走料は50万ドルに変更。さらに2020年には登録料制度が廃止され、賞金総額は300万ドルにまで減額された。これまで高額賞金を売りにしてきたレースだったが、現在では“普通の”G1になってしまった。
今年の出走予定馬はブリーダーズCダートマイル(G1)の勝ち馬ニックスゴーがいるものの、それ以外は近走で目立った活躍をしていない。コードオブオナー、マスウィザードは一昨年にG1を勝っているものの、昨年はG1未勝利。昨年9着のタックスも、前走でようやくG3を勝ったばかりだ。
第1回がアロゲート、第2回がガンランナーといった米国を代表する名馬が優勝を飾ってきたレースだが、今年の出走メンバーは手薄感が否めない。
昨年のブリーダーズCクラシック(G1)を制したオーセンティック、ベルモントS(G1)の勝ち馬ティズザローはすでに引退。「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で2位タイ、4位タイの2頭が不在ということも影響しているが、他にランクインしている9頭も出走しない。
日本でいえば、有馬記念(G1)やジャパンC(G1)にアーモンドアイ、フィエールマン、コントレイル、クロノジェネシス、サートゥルナーリアが不在ということにあたる。それだけ深刻な事態なのだ。
これには賞金減額の影響もあるが、2月のサウジC創設が大きく影響しているだろう。
サウジCといえば、昨年創設された賞金総額2000万ドル(約20億円)のビッグレース。創設時のペガサスワールドCを上回る衝撃に、世界中のホースマンは強い関心を示した。
昨年、マキシマムセキュリティのオーナーであるG.ウェスト氏は、ペガサスワールドCについて「300万ドルへの減額では全く話が変わってくる。サウジCへの遠征は考えていなかったが、4週間後に賞金2000万ドルのレースに出られるのに、なんで300万ドルのレースに出る必要があるのか」とコメント。同馬はペガサスワールドCに出走せず、サウジCに参戦して優勝を果たした。
このコメントからも賞金減額のタイミングにサウジCが創設されたことで、ペガサスワールドCの魅力がかなり薄れてしまったと言えるだろう。
皮肉なことに、ペガサスワールドCの優勝馬にはサウジCの優先出走権が与えられる。今年の出走メンバーはペガサスワールドC優勝の権威よりも、サウジCの出走権を狙いに来ている可能性すらあるだろう。
かつての世界最高賞金レースは“トライアル”まで凋落してしまったのかもしれない……。