JRAコントレイル最大のライバル・サリオスに迫る「春全休」の危機!? ドバイ&豪州で有力視も現在570キロ超「雄大過ぎる馬体」がもろ刃の剣に
無敗の三冠馬コントレイルに次ぐ「4歳牡馬No.2」の呼び声も高いサリオス(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)が豪州のドンカスターマイル(G1)、クイーンエリザベスS(G1)に予備登録することがわかった。本馬が所属するシルクレーシングの公式ホームページで発表されている。
ドンカスターマイルは2015年に厩舎の先輩リアルインパクトが2着したことで知られ、クイーンエリザベスSに至っては昨年、ダノンプレミアムがコロナ禍での遠征を敢行。鞍上はリアルインパクトの手綱も執ったJ.マクドナルド騎手が務めた。
そういった過去の事例から、コロナ禍にあっても現実的な始動戦の候補といえるだろう。
2歳王者として迎えた昨年は、コントレイルとの一騎打ちとなった皐月賞、日本ダービー(いずれもG1)で連続2着。秋の毎日王冠(G2)で古馬を一蹴して威厳を見せたが、続くマイルCS(G1)では5着に敗れ、デビュー以来初めて連対を外す結果となった。
そんなサリオスにとって今年は巻き返しを期すシーズンであり、自身の種牡馬入りを懸けた一年とも言えるかもしれない。昨年遠征したダノンプレミアム同様、是が非でも欲しいのは新たなビッグタイトルである。だからこそ最大のライバル・コントレイルや女王グランアレグリアとの激突を避けるような海外遠征でも、陣営にとっては大きな価値があるはずだ。
だが、最大の「問題」はサリオス自身のコンディションにあるという。
「昨年痛めた右のトモの状態が思わしくないようです。放牧先のノーザンファームしがらきでは一進一退の状況が続いているとか。スタッフも細心の注意を払いながら調整しているようですが、右トモを気にするあまり、今度は左前脚の蹄が裂傷を起こすなど、全体に悪影響が出てしまっているようです」(競馬記者)
サリオスの右トモの不安は、昨秋5着に敗れたマイルCSの敗因とも言われており、症状が長引いたせいで12月の香港遠征も辞退した経緯がある。デビュー時から530キロを超えた雄大な馬体は規格外のパワーを生み出す分、脚元への負担も小さくないようだ。
「最近になって症状が収まりつつあるようですが、軽い調整しかできなかった分、馬体が増えて現在は570キロを超えているとか。成長分もあるかもしれませんが、元々530キロを超える馬体の影響で脚元に不安があったサリオスだけに、急激な馬体増は単純に心配ですし、今度はシェイプアップするための調教で脚元が心配になります。
ここまでドバイやオーストラリアのビッグレースに登録を行っているサリオスですが、正直万全の状態で出走できるかは微妙なところ。日本有数の実績を誇るノーザンファームしがらきだけに大丈夫だと思いますが、もう一頓挫あれば春全休という話も出てくるかもしれません」(同)
昨年、5歳だった全姉のサラキアがエリザベス女王杯や有馬記念(いずれもG1)で2着するなど大活躍しただけに、まだまだ今後の成長が見込めそうな大器サリオス。しかし、打倒コントレイル、そして競馬界の頂点に立つためには、まず”己”に打ち勝つ必要がありそうだ。