JRA「二極化」進む三冠馬世代の宿命!? 東京新聞杯(G3)トリプルエース、サトノインプレッサ轟沈から見えて来る買える馬、買えない馬の条件
7日、東京競馬場で開催された東京新聞杯(G3)は、菅原明良騎手の5番人気カラテが優勝した。菅原騎手は自身初となる重賞制覇を噛み締めるように何度もガッツポーズ。今年8勝目を挙げて、全国騎手リーディングで13位に躍進した。
パートナーのカラテは昨年12月に2勝クラス、1月の若潮S(3勝クラス)を勝利した勢いで東京新聞杯も制して3連勝。春のマイル王決定戦・安田記念(G1)参戦も視野に入りそうだ。
その一方、初重賞勝ちのフレッシュな人馬に対し、不甲斐ない結果に終わってしまったのが、いずれも全国リーディング経験者がコンビを組んだ4歳世代のトリプルエース、サトノインプレッサの2頭である。
トリプルエースは前走の京都金杯(G3)を8着に敗れていたが、8枠16番の大外枠も響いていた。同馬はトップジョッキーのC.ルメール騎手が手綱を執ることもあってか2番人気に支持された。戸崎圭太騎手のサトノインプレッサは9番人気と、意外な低評価も昨年のマイルCS(G1)で3番人気、毎日王冠(G2)で2番人気に推された実力馬だった。
しかし、16頭立てのレースを2番手につける積極策を採ったトリプルエースは粘れずに7着。中団から6着に流れ込むのが精一杯だったサトノインプレッサも、好調時に見せた切れる脚は鳴りを潜めた。
これと無関係でなさそうなのは、三冠馬が出るような年は同世代のライバル馬に強い馬がいないと言われていることだ。ただでさえ、昨年はコントレイル、デアリングタクトと牡牝同時に誕生しただけに、今年はそういった傾向もより顕著となっている印象が強い。
その証拠にクラシックで掲示板を賑わせた馬や、重賞勝ち実績のある馬でも今年の重賞で人気を裏切るケースが散見した。
これに対し、愛知杯(G3)で2番人気のマジックキャッスル、AJCC(G2)を1番人気のアリストテレスはしっかりと勝利。結果を出したこの2頭と敗れた馬との違いはどこにあるのだろうか。
「どちらも三冠の最終関門となった秋華賞(G1)、菊花賞(G1)で絶対王者を冷やっとさせる走りで2着に入った馬でした。
それ以外でもNHKマイルC(G1)を優勝したラウダシオン、ホープフルS(G1)でコントレイルの2着だったヴェルトライゼンデが、馬券圏内に入る3着以内に善戦しています。
ハイレベルな年の場合はG1好走実績のない馬でも、もう少し通用することが多いです。しかし、世代レベルが怪しくなると本当のトップクラスでなければ厳しいともいえそうですね」(競馬記者)
中山金杯(G3)を2番人気で14着のディープボンド、日経新春杯(G2)を1番人気で10着のアドマイヤビルゴ、AJCCを2番人気で11着のサトノフラッグにしても、同世代でのオープンや重賞勝ちの実績はあったものの、G1の舞台で連絡みしたことはなかった。
一般的に競走馬が充実期を迎えることの多い明け4歳ということもあって、人気先行になりやすい。それだけに、二極化が進んでいる重賞で買える馬、買えない馬の見極めが大事になって来そうだ。