武豊すら大幅ダウン! 岩田康誠、田中勝春らベテラン騎手を襲う「悲しき現実」に勝負の厳しさを見た
1年の締めくくりである12月は多くのアスリートにとって大事な時期だ。プロ野球選手やサッカーのJリーガーは契約更改や移籍などいわゆるストーブリーグが話題となり、来年の所属チームや年俸が決定する。これが公営ギャンブルの選手になると話は更に深刻になる。12月いっぱいまでは年間成績を集計するので、最後の追い上げに必死だからだ。
公営ギャンブルでもボートレース、競輪、オートレースであれば成績は選手自らの実力によるものだが、競馬となると話が違う。例え調教師が100%の状態に馬を仕上げて出走させたとしても、騎手がレースでミスをしてしまえば簡単に負けてしまうからだ。一般的に一度のレースに向けて調整される時間は1カ月ほどなので、その1カ月がたった一度のミスでチャラになってしまうのである。
また騎手の立場で言えば、どんなに騎乗技術を持っていたとしても、騎乗依頼がなければレースに乗ることはできず、何もない週末を過ごすしかない。騎手によって年間の騎乗数に大きな差があるのは、エージェント(騎乗依頼仲介者)によるところが大きい。エージェントの持つ信頼と人脈と営業力が担当する騎手の騎乗に繋がり、その馬の質によって成績に直結するのだ。現在エージェントの影響力は更に増しており、その煽りを大きく受けているのがベテランや中堅騎手だろう。
特にここ数年成績を落としている騎手や、昨年よりも成績が落ちている騎手はさらに成績が落ち込む傾向にあり、良質な騎乗馬の確保も厳しい状況にある。その筆頭がかつて関東のトップジョッキーとして活躍した田中勝春騎手だ。
田中勝春騎手はここまで通算1744勝、海外G1レースを含め重賞58勝を記録。2007年には年間109勝をあげたが2008年は51勝と半分以下の勝利。2009年に65勝と盛り返したが、その後年々勝利数は減少し2015年は34勝とデビュー以来最低の数字。そして今年は12月11日の時点で19勝とさらに成績は悪化している。