元JRA騎手・安藤勝己氏コントレイルVSサリオスに「2000mまでなら……」。大阪杯(G1)で宿敵に逆転できる理由とは
19日、一昨年の2歳王者サリオス(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)が招待を受けていたドバイターフ(G1)を辞退して、4月の大阪杯(G1)へ向かうことがわかった。本馬が所属するシルクホースクラブの公式ホームページで発表されている。
2019年に3連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)を勝利し世代の頂点に立ったサリオスだったが、昨春は三冠馬コントレイルの前に皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)と連続2着……。
秋に陣営は実績のあるマイル路線に舵を切ったが、毎日王冠(G2)で古馬を一蹴したものの、マイルCS(G1)5着と結果が出なかった。
同世代の宿敵コントレイルも大阪杯参戦を表明しており、サリオスにとっては”三度目の正直”となる。だが、3馬身差を付けられた昨年の日本ダービー以来の再戦となるだけに、下馬評はやはり三冠馬に分がありそうだ。
しかし、元JRA騎手で現在は競馬評論家の安藤勝己氏が以前から「(現時点での)完成度でコントレイルの後塵を拝してきたけど、引退する頃には勝るとも劣らない実績を築いとるはず」(Twitter)とコメントするなど、その成長力が期待されているサリオス。
昨秋のマイルCSでは初めて連対を外してしまったが、マイル路線を選択した陣営の判断に疑問の声もあるようだ。
「2歳時にマイルを3連勝したサリオスですが、本当にマイラーなのかは疑問が残るところです。陣営としては2400mの日本ダービーでコントレイルに3馬身差をつけられて完敗したことから距離を短縮したようですが、それ以上にコントレイルとは位置取りの差が大きかったような気がしますね。実際に上がり3ハロンでは0.1秒しか負けていないわけですし、最後も止まったという感じではありませんでした」(競馬記者)
記者がそう話すのも、やはり昨年のサラキアの活躍があってのことだろう。
サリオスの全姉に当たるサラキアは昨秋の府中牝馬S(G2)で重賞初制覇を飾ると、キャリア最長となる2200mのエリザベス女王杯(G1)でいきなり2着。さらに2500mの有馬記念(G1)でも2着し、多くの競馬ファンを驚かせた。
さらに前述した安藤氏に至っては、サリオスが1600mの朝日杯FSを勝ち、コントレイルが2000mのホープフルS(G1)を勝ってそれぞれ2歳王者に輝いた時点から「ゆくゆく2000mまでならこの馬(コントレイル)、それ以上ならサリオスって構図になりそう。使ったレースとは逆の適性やとオレは思う」と独自の見解を披露している。
「安藤さんは普段、血統の話をあまりしないので、サリオスの距離適性はその走りを見て、騎手時代に培った経験から判断していると思われます。そこにサリオスと血統構成がまったく同じ姉サラキアが、2000mを超えるG1であれだけの走りを見せたわけですから、ある意味では安藤さんのコメントを裏付ける結果になったのではないでしょうか。
それだけにサリオスが、再び2000m(大阪杯)に挑戦するのは楽しみですね。元々、先行力のある馬ですし、阪神の内回りコースはあっていると思います」(同)
ここまでコントレイルに対して2戦2敗のサリオスだが、これらの話を踏まえると十分に逆転の可能性が高まってくる。
ただ、安藤氏は「2000mまでならコントレイル、それ以上ならサリオス」と話しているだけに、今回2000mの大阪杯は同世代の「2強」にとって、非常に大きな意味を持ちそうだ。