マイネル岡田総帥の「真打ち」コスモスは中央で通用するのか?すでに「ダート馬」のレッテルを貼られている期待の星を「チャンス十分」と証明する歴史
その一方で、コスモスはトラストと同じようにスピードの違いで終始先頭。後続に1.8秒の大差をつけて楽勝している。タイムは1:31.6でトラストとは0.2秒差とほぼ互角。この時計は3歳馬のレースを大きく上回っており「水準は極めて高い」といえるだろう。
つまり、あくまで川崎のダート競馬の範疇でいえば、コスモスもトラストと同じく地方ではズバ抜けた能力を有しているということになる。
だが、今回走るのは中央競馬、それも芝の重賞だ。コスモスやトラストをずっと追いかけてきた記者は、あくまで否定的な見解を述べている。
「トラストは、モーリスやゴールドアクターなど芝の大物を送り出しているスクリーンヒーロー産駒。もともと芝への適性を感じさせる血統背景でした。しかし、コスモスの父は地方の雄として鳴らしたフリオーソ。母の父もダートで大物を送り出しているゴールドアリュールと、祖母に芝の重賞馬がいるものの完全にダート血統です。
英ダービーよりも、アメリカのケンタッキーダービーを目指すべきではと言いたくなるような配合。岡田総帥があれほどの期待を掛けている以上、水準以上の能力はありそうですが、仮に超一流の能力が備わっていたとしても、常識的には芝をこなせる要素は見当たりません」(競馬記者)
確かに地方で連戦連勝だった馬が、中央に挑戦してあっさり敗れるケースはまったく珍しくない。単純な実力差も然ることながら、適性が見えない点も中央の芝レースで地方馬が苦戦する大きな理由の一つだろう。
コスモスが岡田総帥の話すように如何に素晴らしい馬でも、芝への適性がないのであれば苦しいと述べざるを得ない。
だが、まだ中央でも各馬の適性のはっきりしないこの時期の重賞であれば、仮にコスモスがダート馬であったとしても超一流の能力を秘めているのであれば「通用する可能性がある」ことを歴史が証明している。
例えば、古馬になってからダートG1を6勝したアドマイヤドンは、朝日杯フューチュリティS(G1)を勝って2歳王者に輝いている。ダートG1を9勝したヴァーミリアンに至っては、かつてホープフルSと同じ位置づけにあったラジオたんぱ杯2歳S(G3)を優勝。