有馬記念、武豊とキタサンブラックは、今回も孤高の逃亡者となれるのか? 最高の枠は「あの馬」?【展開考察】
そのため、少なくとも3番手以上のポジションは確保したい。逆にそれ以下であれば、黄色信号と見て良い。後続を寄せ付けなかったジャパンCのスパートは見事だったが、それでも上がり最速よりは0.4秒遅い。直線で何頭も交わせる馬ではないはずだ。
その上で、メディア等でキタサンブラックとハナ争いを演じる可能性があるといわれているのが、「3枠5番」に入ったサムソンズプライドと「4枠7番」に入ったマルターズアポジーの2頭だ。どちらもまずまずの枠に入っており、充分に逃げを打てる状況だ。
ただし、サムソンズプライドは「何が何でもハナ」という馬ではない。実際に前走のステイヤーズSでは好位から競馬しており、逃げを打ったのは4走前まで遡る。スタートが特別速いわけでもなく、ハナ争いが厳しいと見るや2番手以下からの競馬も多い。
強いていうなら横山典弘騎手が奇策に出る可能性はあるが、ノーマークの逃げは仮にキタサンブラックが許しても、マルターズアポジーが許さないだろう。したがって横山典騎手が逃げ関係の奇策に出る可能性は低く、さらにいえばキタサンブラックよりも前で競馬する可能性さえ低い。率直に述べて、度外視していいだろう。
だが、マルターズアポジーの方は、例え玉砕覚悟になったとしてもハナへのこだわりを見せてくる可能性は高い。これまでキャリア17戦すべてで逃げており、1000m通過までに他馬へハナを譲ったことが一度もない、筋金入りの逃げ馬だ。ここまで逃げで3連勝しているだけに、ハナへのこだわりは相当に強いとみて良いだろう。
昨年の有馬記念から、本格的な逃げ馬に転身したキタサンブラック。それから最も速い最初の600mは宝塚記念の34.7秒だが、3着に敗れている。それを踏まえれば、京都大賞典でヤマカツライデンをハナへ行かせて2番手からでも勝ち切っているだけに、武豊騎手が強引にハナを主張する可能性はあまり高くない。