【徹底考察】有馬記念(G1) マリアライト「昨年は大外枠から惜しい4着。宝塚記念のような『真価』を発揮するために必要な『爆薬』の存在とは」


 1番人気のゴールドシップが大きく動いたことで、淡々と流れていたレースの流れは残り1000mを切ったところで急激に激しさを増した。外からグングン加速する「葦毛の怪物」は、3コーナーに入る頃には、番手を進んでいたマリアライトのすぐ隣まで押し上げている。

 それに合わせるようにマリアライトも進出を開始。そうなると苦しくなるのは当然、マイペースで先頭を走っていたキタサンブラックだ。

 ただ、すでに全盛期を過ぎているゴールドシップがついて行けたのは、レースのペースが上がるまでだった。ズルズル後退する旧王者に替わって、内からゴールドアクターがじわりとポジションを上げている。

 キタサンブラックは最後の直線に先頭で入ったものの、すぐ隣にはマリアライトがすでに並走している。直後にはゴールドアクターが迫っており、アドバンテージはほぼない状況だった。

 ラチを頼りに粘り込みを図るキタサンブラック、それに食い下がるマリアライト。過酷なロングスパート合戦の中、力尽きた2頭をゴールドアクターが交わして力強く先頭に立つ。そこにサウンズオブアースが猛追したものの、クビ差届かなかった。

 結果、マリアライトは勝ち馬から0.1秒差の4着に敗れている。

【血統診断】

 今や日本競馬を牽引するスーパーサイアーとなったディープインパクトだが、当所は「ディープインパクト産駒はスピードやキレはあるがパワーはない」と言われ続けてきた。

 実際に活躍馬は芝に大きく偏っており、雨が苦手な産駒も多く、直線が長く坂のない京都競馬場などでは抜群の成績を誇っているのがディープインパクト産駒の傾向だった。

 しかし、近年、この傾向は大きく変わりつつある。顕著に表れたのは今年の3歳馬からで、ディープインパクト産駒にとって鬼門だった皐月賞やセントライト記念などといったパワーが要求されるレースを尽く勝利。上位を独占するまでに至っている。

 イスパーン賞を10馬身差で圧勝したエイシンヒカリやマリアライトは、その先駆け的な存在で、本馬もデビュー2戦目こそ出遅れて3着だったが、雨が降って馬場が荒れた他のレースではすべて勝利。そこには今年の宝塚記念や昨年のエリザベス女王杯も含まれており、まさに弱点を克服した「ディープインパクト産駒の完成形」といえる存在だ。

 だが、すべてのディープインパクト産駒がそうではないように、マリアライトがパワーのあるディープインパクト産駒であることには理由がある。

 それこそが母方の血であり、半兄のクリソライト(父ゴールドアリュール)や半弟のリアファル(父ゼンノロブロイ)に重賞級のダート実績があるほどパワーに優れた血統だ。近親にはジャパンCダート(現チャンピオンズC)を勝ったアロンダイトもいる。

 ただ、裏を返せばパワーによる有利さが発揮されない舞台では、詰めの甘さを露呈する傾向もある。そういった点で、前走のエリザベス女王杯の舞台設定には大きな不安があったが、昨年同様キタサンブラックがペースを作る有馬記念で、大きくパフォーマンスを向上させる可能性はある。

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