JRA高松宮記念(G1)ダノンスマッシュに立ちはだかる「不吉なジンクス」…… 多くの馬が跳ね返された壁を越えたのはあの名牝のみ

 28日、中京競馬場では春のスプリント王決定戦、高松宮記念(G1)が行われる。前走の香港スプリントで悲願のG1制覇を遂げたダノンスマッシュ(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)。国内でもビッグタイトル奪取なるかに注目が集まる。

 国内では重賞6勝の実績を誇るダノンスマッシュも、G1に限ると7戦全敗。父ロードカナロアに続く国内外のスプリントG1制覇を目指し、まずは順調にレースを迎えられそうだ。

 前走後は輸入検疫を経て、ケイアイファーム千葉に放牧に出されていたダノンスマッシュ。そこから栗東に戻ったのが先月中旬。帰厩後は坂路を中心に1か月以上じっくりと乗り込まれてきた。17日の1週前追い切りでは、栗東坂路で4F50秒6の好時計をマーク。3か月半ぶりの実戦でも、仕上がりに不安はない。

「ダノンスマッシュ自身、2か月以上の休み明けは6戦5勝でむしろプラスといえるでしょう。ただ、心配なのは海外遠征帰り初戦という点です」(競馬記者)

 2016年以降の過去5年間で、日本馬のべ102頭が海外遠征後の国内初戦を重賞で走っている。その成績は【10-12-12-68】で勝率9.8%、連対率21.6%、複勝率33.3%、は、可もなく不可もなくといった数字だ。

 ところが、これをグレード別で比べると、復帰舞台がG1のときは苦戦傾向にあることがわかった。

【グレード別海外遠征帰り国内初戦成績、2016年以降の重賞】
G1「2-2-3-29/36」(5.6%/11.1%/19.4%)
G2「5-6-4-26/41」(12.2%/26.8%/36.6%)
G3「3-4-5-13/25」(12.0%/28.0%/48.0%)
※()内は左から勝率、連対率、複勝率

 復帰初戦でG1を走ったのべ36頭の成績は「2-2-3-29」。勝率はG2・G3の半分以下。連対率と複勝率を比べても、いきなりG1の舞台では好走が難しいことがわかる。海外帰りの馬にとっては「不吉なジンクス」ともいえそうだ。

 ちなみに国内復帰初戦のG1で2勝したのはどちらもリスグラシュー。2019年の宝塚記念(G1)と有馬記念(G1)を制したときのものだ。つまり、他の34頭はことごとく復帰初戦で敗れていることになる。

 また、レース間隔にもある特徴が見られた。海外帰り初戦なら、ある程度レース間隔を空けたほうが遠征の疲れが取れ、力を出せるイメージがある。しかし、データはその逆を示している。

 前走を海外で走り、中14週以上(約3か月)空けてG1で復帰した馬のその成績は「0-0-1-11」。中13週以下の「2-2-2-18」に大きく劣る。今回のダノンスマッシュは中14週。休み明けは得意といえデビュー以来、最長の間隔というのも気掛かりだ。

 高松宮記念では2年前に1番人気で4着、昨年は3番人気で10着と相性も良くない。過去5年でリスグラシューしか越えていない「海外帰り初戦でG1制覇」という大きな壁。ダノンスマッシュはこれを突き破ることができるだろうか。

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