JRA 武豊の代打・横山典弘メイケイエールで「後方ポツン」ある!? 桜花賞(G1)好走のカギは過去の騎乗にヒント
11日、阪神競馬場で開催される第81回桜花賞(G1)。無敗の白毛娘・ソダシのほか、父ディープインパクトに母アパパネという両親合わせて12冠の超良血アカイトリノムスメ、さらには九州産馬期待の星として史上初となるG1出走を果たしたヨカヨカなど、個性豊かなメンバーが集結する一戦でもある。
そんなメンバーのなかでも、決してヒケをとらないのがメイケイエール(牝3歳、栗東・武英智厩舎)だ。
デビュー勝ちを決めた昨年8月の新馬戦では2着に5馬身差をつける圧勝で。9月の小倉2歳S(G3)、11月のファンタジーS(G3)を制して重賞2連勝を果たすなど、その実力は折り紙付きである。前走のチューリップ賞(G2)は同着優勝を果たして、ソダシと並ぶ重賞3勝。通算成績は5戦4勝と成績だけみれば、出走メンバーのなかでも有力馬の一頭であることは間違いない。
ただし、同馬の不安材料として懸念されるのが、”クセが強すぎる”気性だ。
昨年末の阪神JF(G1)では大外枠スタートから掛かり通し。最後の直線で他馬をまとめて交わすも、道中のロスが響いて4着。一転して最内枠からのスタートになったチューリップ賞では騎手が抑えるのを無視して、なかば強引に先頭に立つ展開になりながら同着優勝。武豊騎手が「おてんば」と表現したように、”クセが強い”性格であることは間違いない。
こうした背景から、今回の桜花賞では、当然ながら同馬の手綱さばきに注目が集まる。「おてんば娘」を自由に走らせるために逃げの手を打つか、それとも後方待機から一気の末脚を炸裂させるか……。そんな彼女の運命を握るのが、主戦・武豊騎手の負傷から代打騎乗を指名された横山典弘騎手だ。
実は桜花賞と横山典騎手の関係性は深い。八大競走とよばれるJRAの8つのG1のなかでも、同騎手が制していない唯一のG1が桜花賞であり、これまで1着はおろか連対も果たしていないレースでもある。
桜花賞で横山典騎手の初騎乗は1991年第51回と、いまからちょうど30年前。昨年までの通算成績は14戦して3着3回が最高という結果に終わっている。横山典騎手といえば、鮮やかな大逃げや一部のファンから「後方ポツン」ともよばれる最後方待機からの騎乗策も有名だが、過去の桜花賞ではどうだっただろうか。例えば1993年第53回では、4番人気マザートウショウに騎乗。積極的なレースをみせて、最終4コーナーまで先頭をキープしたが11着に沈んだ。
通算14戦のうち、最終4角で5番手以内だったレースは、前述した第51回を含めてわずか5回。残りの9回はいずれも13番手から18番手と、後方待機策でレースを進めたケースが多かった。
それでは桜花賞(G1)だけでなく、同舞台の阪神・芝1600mでの横山典騎手はだろうだろうか。直近10年間の成績を調べると、騎乗機会はちょうど30回。1着3回、2着2回、3着4回で勝率10.0%、連対率16.7%、複勝率30.0%というデータが残っている。気になるのは、その戦法だ。30回の騎乗機会のうち、4コーナーを先頭で通過したのは5レース。5番手以内で通過したのは8レース、7番手以内は10レースあった。
一方、10番手以下で通過したのは13レース。13番手以下は8レース。16番手以下は4レースあった。興味深いのは、その位置取りと成績との関係だ。3着入線を果たした、いわゆる馬券圏内に残ったケースは、すべて最終4角では7番手以内の位置取り。反対に10番手以下の位置取りでは、いっさい馬券に絡んでいない。
つまり直近10年のデータからみると、阪神・芝1600mで騎乗した横山典騎手は、最終コーナーを10番手以下で通過した場合は、馬券に絡むことはない……という傾向がある。メイケイエールの騎乗ぶりに話を戻せば、最終コーナーでは7番手以内に食い込まないと、馬券圏内から外れる可能性が高いといえるのかもしれない。阪神・芝1600mを舞台に、鬼才・横山典騎手が「おてんば娘」をどうエスコートするか興味は尽きない。
個性派揃いの娘たちが共演する、3歳牝馬クラシック第1弾の桜花賞。果たしてどんなレース展開が繰り広げられるのか。桜吹雪が舞う阪神競馬場で、ゲートが開くその瞬間まで楽しみに待ちたい。