混戦模様の中山金杯(G3)に”最強軍団”が送り出すシャドウパーティーは「根拠」のある激走馬?
昨年の競馬で最も存在感があった調教師は、紛れもなく美浦の堀宣行調教師ではないだろうか。
リーディングこそ栗東の矢作芳人調教師に譲ったが、最高勝率、最多勝金、優秀技術調教師(勝率、1馬房あたりの勝利度数・獲得賞金・出走回数の得点により決定)を受賞。
2冠馬ドゥラメンテがどちらかといえば”不発”に終わった一年でも、大黒柱のモーリス、新星ネオリアリズム、復活したサトノクラウンなど、特に重賞戦線では抜きんでた活躍を見せた。年末の香港国際競走でも、日本馬が挙げた2勝はどちらも堀厩舎の管理馬である。
そんな堀調教師が「一年の計を占う」中山金杯(G3)に期待を込めて送り出すのが、シャドウパーティー(セン8歳)だ。
昨秋はレインボーS(1600万下)を完勝し、ついにオープン入りを果たした。しかし、2番人気に推された前走のディセンバーS(OP)では、まったく見せ場を作れず12着に大敗。
まずまずのスタートから中団の競馬を試みるも、それよりさらに後ろにいたツクバアズマオーとルミナスウォリアーに無抵抗のまま交わされる不甲斐ない競馬。これで3戦連続の中山2000mの出走となるが、早くも「オープンクラスでは通用しない」というレッテルを貼られて、現在は13頭中の8番人気(前日段階)に甘んじている。
だが、この1戦だけ見切りをつけてしまうのは、やや早計ではないだろうか。
競馬のオッズはどうしたって人間心理が絡むもの。必然的に前走で人気になりながらも敗れた馬は、次走で必要以上に嫌われる傾向がある。単純に一度”裏切られた”馬を、再び買いたくないからだ。
しかし、実際のところ多くの「穴」を開ける馬は、後から振り返れば「何故、こんなに人気がなかったのか」と不思議に思ったり、「実は強かった」というケースが大半である。何の根拠もない格下の馬がいきなり激走するパターンは、実はあまり多くないのだ。
例えば、この中山金杯にしても2014年の勝ち馬オーシャンブルーなどは、その典型ではないだろうか。
このオーシャンブルーも前走の金鯱賞(G2)で2番人気に推されながらも、見せ場なく10着に大敗。続く中山金杯では、G2からG3への出走にもかかわらず5番人気まで評価を下げていた。
だが、結果はトップハンデを背負いながらの完勝である。