JRA日本ダービー(G1)エフフォーリア中心「勢力図」が激変!? 青葉賞(G2)「噂の大物」ワンダフルタウン急浮上で、揺らぐ牡馬クラシック戦線

 1日、東京競馬場で行われたダービートライアルの青葉賞(G2)は3番人気のワンダフルタウン(牡3歳、栗東・高橋義忠厩舎)が勝利。昨年11月の京都2歳S(G3)以来の復帰戦を勝利し、日本ダービー(G1)へ大きく名乗りを挙げた。

 “噂の大物”の実力は、やはり本物だったようだ。

 昨秋の京都2歳Sを勝利したことでクラシック戦線の有望株と目されていたものの、爪の不安で休養が長引いていたワンダフルタウン。2着に負かしたラーゴムがきさらぎ賞(G3)を勝って本馬も評価を高めていたが、皐月賞(G1)で13着に大敗したことで、本当の評価は不透明なものだった。

 しかし、レース後に主戦の和田竜二騎手が「あとはどこを抜け出そうか、という感じで強い競馬」と振り返った通り、最後の直線で馬場の真ん中に持ち出されると先行集団をアッという間に吸収。最後は1番人気のキングストンボーイとの叩き合いになったものの、ハナ差で重賞2勝目をもぎ取った。

「レース後に和田竜騎手も『正直、状態はまだまだという感じだった』と語っていた通り、まさかあの状態で勝つとは驚きましたね。陣営も『いい成長曲線を描いている』と話していましたが、ラーゴムを負かした京都2歳Sの時よりも、さらにパワーアップしている印象です。これは本番が楽しみになりましたね」(競馬記者)

 和田竜騎手や記者がそう話している通り、約半年ぶりの出走となるワンダフルタウンは、1週前追い切りで一杯に追われたものの併せ馬を交せないなど、決して万全とは言えない状態だった。

 最終追い切りで未勝利馬のパートナーに先着したものの「何とか間に合わせたという印象」だったようだ。それらが出走メンバー唯一の重賞勝ち馬だったにもかかわらず、3番人気に甘んじた要因だったのだろう。

 また、記者は2着に終わったキングストンボーイに勝った意味も大きいと話す。

「この馬が4着に敗れた2月の共同通信杯(G3)は勝ったエフフォーリアが皐月賞、2着したヴィクティファルスがスプリングS(G2)、3着のシャフリヤールが毎日杯(G3)をそれぞれ勝つなど、非常にハイレベルな一戦でした。

この日のキングストンボーイも鞍上のC.ルメール騎手がほぼ完璧にエスコートしていましたし、実力は発揮できていたと思います。

それだけにワンダフルタウンにとっては万全一歩手前で、そんなキングストンボーイを負かしたという事実は大きいですね。これで打倒エフフォーリアの筆頭候補に躍り出たと言えるかもしれません」(同)

 ちなみに2月の共同通信杯で4着だったキングストンボーイよりも「クビ差」先着したのがシャフリヤールであり、「クビ差+アタマ差」先着したのがヴィクティファルス。エフフォーリアはそんな2着馬より、さらに2馬身半前を走っていた。

 これだけを見ると、今回のワンダフルタウンはキングストンボーイとシャフリヤールの間に入った共同通信杯“3.5着”という評価に過ぎないが、何と言っても状態面でまだまだ上積みが見込めるところに魅力がある。

「次はもっと良くなると思います。『今年のクラシックは、この馬で』と思っていたので、トライアルを勝ってダービーに胸を張っていける。本番を楽しみにしていてください」

 勝利騎手インタビューで、そう期待を隠さなかった和田竜騎手。明日の天皇賞・春(G1)では1番人気が濃厚なディープボンドに騎乗するが、日本ダービーでも楽しみなレースが待っている。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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