JRA 岩田康誠「幅寄せ被害馬」不屈の勝利に絶賛の嵐! 「前走の返し馬の影響なのか、馬がピリピリ」も、不安跳ね返す激走に藤懸貴志「精神力の強い馬」
15日、新潟競馬場で行われた10Rわらび賞(1勝クラス)は、1番人気のテイエムマジック(牡3歳、栗東・鈴木孝志厩舎)が勝利。最後は上位5頭の追い比べを制し、待望の2勝目を挙げた。
最後まで挫けず、不屈の闘志を見せつけた。というのも、勝ったテイエムマジックは今、普通の1勝馬以上の注目を集めているからだ。
先月24日の阪神6Rの返し馬で、岩田康誠騎手が後輩の藤懸貴志騎手を馬ごとコースの端に追い詰め「粗暴な行為、発言に及んだ」として、即日の騎乗停止処分が下るという前代未聞の事件があった。
実は、その時に藤懸騎手が騎乗していたのが、テイエムマジックだったのだ。
ちなみに事件直後のレースで、テイエムマジックはハナを奪う積極策からの2着。被害に遭った影響は「見られなかった」という意見もあったが、同時に「あれがなければ勝っていた」という声も。目に見えない問題だけに、どちらにも一理あるといえる結果だった。
「先日の一件の後のレースで2着したため一安心だったんですが、この中間はかなりカリカリする面もあったそうで、鈴木調教師も『前走の返し馬の影響なのか、馬がピリピリしている。その点がどう出るか……』と不安を示唆していました。
しかし、レースでは前走のようにハナを奪う競馬こそしなかったものの、最後の直線では、臆せず馬の間を割る強い競馬。鞍上の藤懸騎手も『精神力の強い馬だと思います』と絶賛していましたね。陣営もこの中間は大変だったと思いますし、アクシデントを乗り越えての勝利には拍手を送りたいです」(競馬記者)
レース後、「外の馬も主張していたので、無理せず逃げ馬の後ろにつけました」と藤懸騎手が話した通り、逃げ馬を見るような形で最後の直線に飛び込んだテイエムマジック。前を交わせそうな手応えがあったものの、内を突いて交わそうとしたところをヴォワドアンジェに前に入られて、進路を切り替える苦しい展開……。
体勢を立て直す間に外から来たタイキドミニオンに一度は交わされたものの、そこで藤懸騎手の左ムチが飛ぶと、テイエムマジックの闘志に火がついた。「最後は狭い所を割って、よく頑張ってくれました」との言葉通り、タイキドミニオンとヴォワドアンジェの間を割るようにして先頭でゴールを駆け抜けた。
この勝利には、ネット上の競馬ファンからもSNSや掲示板などを通じて「テイエムマジック勝った!」「根性あるわ、強い競馬」「あんなことがあった後で心配したけど……」など、喜びの声が続々。
中には「今日はハラスメントなかった」「怒りの勝利」「某騎手がいなくてよかった」など、明らかに岩田康騎手の行為を意識したコメントも数多く見られた。
「前走が強い競馬でしたし、能力はこのクラスでも上だと思っていました」
レース後には、そう胸を張った藤懸騎手。今後はいよいよ、オープンや重賞といったレースに挑戦する機会も出てくるはずだ。逆境を跳ね返した人馬のこれからに注目したい。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。