エイシンヒカリ引退。武豊騎手とのコンビで逃げに逃げた破天荒競走生活
陣営はこの敗戦を受け、逃げ馬を得意とする騎手の騎乗を決めたのかもしれない。これまでエイシンヒカリの鞍上は岩田康誠や和田竜二、横山典弘らが務め一貫していなかったが、これ以後は武豊が乗ることとなった。
武豊といえば、レースのラップタイムが一貫するほど体内時計が極めて正確なことで知られている。またコパノリッキー、トウケイヘイロー、キタサンブラック、そして古くはサイレンススズカなど逃げ馬との実績も豊富。まさにエイシンヒカリにはもってこいの騎手だったのだろう。
その期待に応えるように、エイシンヒカリと武豊のコンビは快進撃を続ける。途中、天皇賞(秋)の惨敗はあったものの、海外G1を2度も制し、一時は世界ランキング1位まで上り詰めた。同馬が残した成績も武豊の手腕があったからこそだったのかもしれない。
エイシンヒカリの最終成績は15戦10勝。その負けたレースでは人気上位に押されるも掲示板にすら載らなかった。そのためか長らくムラッ気があるともいわれ、引退レースとなった香港Cでもパドックを逆走して関係者を慌てさせた。その疲れもあったのか10着に終わってしまう。
鞍上の武豊はレース後、「三振かホームランの馬だから。特大ホームランを狙ったけど、三振でした」と同馬を評した。この勝つか負けるかという両極端な走りっぷりも、この馬の魅力のひとつだったのは間違いない。
エイシンヒカリの2017年度の種付料は受胎条件250万円、出生条件300万円と発表されている。これを高すぎると見るか否かは牝馬を持つ側の判断次第だ。親に負けないくらいのやんちゃな産駒が誕生してくれることを期待したい。