横山武史とエフフォーリアは「何故」ナリタブライアンになれなかったのか。日本ダービー(G1)シャフリヤール「10cm差」の大接戦に恵まれなかった「ゲリラ豪雨」
「人気に応えることが出来なくて、申し訳なかったです」
単勝1.7倍の大本命馬による2着敗戦に、22歳の若武者は開口一番、ファンへ謝罪した。皐月賞馬エフフォーリアと横山武史騎手の無敗三冠の夢は、日本ダービー(G1)の舞台で潰えた。
4戦4勝の無敗で制した皐月賞(G1)では、2着に3馬身差という決定的な差をつけたエフフォーリア。0.5秒以上の差をつけたのは、過去にナリタブライアンとオルフェーヴルという2頭の三冠馬だけ。この事実はメディアでも大きく取り上げられ、クラシックの開幕戦にして早くも同世代の陣営に絶望を突きつけたことは言うまでもない。
しかし、そこには落とし穴があった。何故なら、ナリタブライアンとオルフェーヴルの皐月賞は良馬場であり、エフフォーリアは稍重だったからだ。
あくまで一般論だが、例えば重馬場で行われた今年の大阪杯(G1)で伏兵レイパパレがコントレイルらに4馬身以上の差をつけて勝ったことや、同じ稍重なら昨年の宝塚記念(G1)でクロノジェネシスが6馬身差で圧勝したように、雨で重くなった特殊な馬場は着差が大きく開きやすい。
レイパパレやクロノジェネシスが現役屈指の強豪であることは間違いないが、これらの着差を鵜吞みにできないことは多くのファンが経験則で知っている。
そういった意味でエフフォーリアの3馬身差と、ナリタブライアン・オルフェーヴルの3馬身差には小さくはない違いがあった。特に日本ダービーは、毎年のように東京特有の超高速馬場で行われているレース。稍重の皐月賞を圧勝したエフフォーリアには時計勝負に一抹の不安があったことは確かだ。
そんなエフフォーリアにとって、この日に突如降り出した雨は、まさしく恵みの雨だったに違いない。