横山武史とエフフォーリアは「何故」ナリタブライアンになれなかったのか。日本ダービー(G1)シャフリヤール「10cm差」の大接戦に恵まれなかった「ゲリラ豪雨」
日本ダービーの直前となる10Rのスタート頃には、中継の画面越しにも確認できるほど、大粒の雨が降っていた。そんな関東地方の状況を受け、Twitterでは「ゲリラ豪雨」がトレンド入り。ダービーへの影響を心配したファンからも多くの書き込みがあった。
レース後に横山武騎手が「最後は勝ち馬(シャフリヤール)に切れ負けしてしまいました」と語った通り、もし今年の日本ダービーが皐月賞と同じ稍重で行われていれば、結果は変わっていたのかもしれない。
「15時頃に東京各地で雨が降ったそうですが、東京競馬場では10Rの頃にやや強い雨が降った程度。『ゲリラ豪雨』と呼ぶには、少し大袈裟な雨量だったと思います。JRAの公式HPに掲載されている10Rの天気は『曇り』ですし、馬場発表も『良』のまま。ダービーの頃には快晴でしたね」(競馬記者)
一方、雨が早めに上がったことで“幸運”を掴んだのが、シャフリヤールだった。
重賞初制覇となった前走の毎日杯(G3)は、古馬を合わせた阪神1800mのレコードタイという超高速馬決着。2着だったグレートマジシャンと共に時計勝負への裏付けがあった2頭は、ダービーの舞台でも強豪を押しのけて3、4番人気に支持されていたのだ。
最終的にシャフリヤールとエフフォーリアの差は、わずか約10cmだったという。
2頭の決着には様々な要素が絡んでいるが、「豪雨」にならなかった“ゲリラ雨”が少なからぬ影響を与えたに違いない。皮肉なことに「強い幸福感」という名を持つエフフォーリアが、クラシックで最も「運」が必要とされる日本ダービーで幸福に見放された。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。