JRAクリノガウディー「劇的復活」のヒントはダービー馬!? 「粗暴な行為」岩田康誠騎手の功罪、20連敗脱出で再びG1戦線に殴り込み
先月30日、中京競馬場で行われた安土城S(L)は、3番人気に支持されたクリノガウディー(牡5歳、栗東・藤沢則雄厩舎)がレコードタイムで優勝。前走の鞍馬S(OP)に続いての連勝を決めた。
管理する藤沢則調教師は、「スタートが良すぎる馬だけどジョッキーが上手く抑えてくれて、持ち味を引き出してくれた」とコメント。前走からコンビを組み、クリノガウディーを見事に連勝に導いた岩田康誠騎手の手綱さばきを褒め称えた。
新馬戦を勝利以降、朝日杯FS(G1)などで2着はあったものの、20連敗を喫していたクリノガウディー。勝ち味に遅かった本馬がここにきて「復活」を果たしたのは、岩田康騎手の手腕によるところも大きいだろう。
4月24日、阪神6Rの返し馬の際、後輩騎手に「幅寄せ」。ラチ沿いまで追い詰めて暴言などを吐くという、前代未聞の粗暴な行為を起こした岩田康騎手。翌日から開催4日間の騎乗停止処分を受けたが、停止期間中はクリノガウディーに付きっきりで稽古をつけていたそうである。
前走の鞍馬Sは岩田康騎手にとって騎乗停止から復帰後の初勝利。入線後には派手なガッツポーズも決めた。そしてクリノガウディーにとっては新馬戦以来、実に2年7ヶ月ぶりとなる、待望の2勝目だった。
「長かった。騎乗依頼が決まってから岩田康騎手が付きっきりで稽古をつけてくれた。岩田康騎手のおかげです」レース後、藤沢則師はしきりに鞍上に感謝のコメントを述べていた。
この“個人授業”が前走の勝利、今回の連勝へと繋がったという可能性もあるだろう。
「岩田康騎手は2012年のNHKマイルC(G1)で騎乗停止を受けた際も、停止期間中は付きっきりでディープブリランテの調教をつけ、その後見事にダービー制覇を果たしています。クリノガウディーとのコンビでも今後、何か大仕事をする可能性もあるかもしれません」(競馬記者)
賞金も加算できたことで、クリノガウディーは秋に備え、放牧に出される予定だという。父スクリーンヒーローの代表産駒であるモーリスやゴールドアクターは古馬になってから本格化し、連勝を重ねてG1を制した。
再び上昇気流に乗った本馬も偉大な先輩たちに続きたいところだ。今後の短距離重賞戦線、クリノガウディーと岩田康騎手のコンビにはぜひ注目しておきたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。