JRA グランアレグリア、サリオス、サートゥルナーリア「早すぎデビュー」も今は昔……? 厩舎の「思惑」が渦巻く6月初旬の新馬戦に、出世間違いなしの“将来のスターホース”も出走!?
先週の開催から、新馬戦がスタート。5日の東京5Rでは、噂の大物コマンドラインが単勝1.1倍の断然人気を背負いながら勝利。デビュー前の期待に応える走りをみせた。「デビューが早すぎるのでは?」と感じる向きもあるが、実は“期待馬”が早期デビューするケースは、今や競馬界のトレンドになっているのだ。
今年はコマンドラインが出走した、6月第1週の東京芝1600mの新馬戦の過去成績を調べると、2020年6月7日には、後の桜花賞2着馬サトノレイナスがデビュー勝ちを収めている。ちなみに2頭とも、美浦・国枝栄厩舎の管理馬だ。
2019年6月2日に同舞台でデビューしたサリオスは、同年の朝日杯FS(G1)を制覇。2018年6月3日には後にG1レース5勝を記録するグランアレグリアが出走。錚々(そうそう)たるメンバーが出走して、コマンドライン同様、キッチリと勝利を収めている。
早々とデビュー戦で勝利して、次走に向けて余裕あるローテーションを組むことが可能になるなど、6月初旬の新馬戦に“期待馬”が出走するメリットは多い。
裏を返せば、厩舎サイドはその素質を認めているからこそ、6月初旬の新馬戦出走を目標に馬を仕上げてデビューさせるという、明確な意図を感じることができる。そして何よりも、この時期にデビューできるということは、牧場での馴致が極めて順調に行われたことの証なのだ。
こうした背景のある、6月初旬デビューを果たした“期待馬”たちはその後、どんな活躍をみせているのか。過去3年の新馬戦を検証してみた。
2018年は、6月2・3日と9・10日の4日間開催が対象。新馬戦は9鞍行われ、3日には前出のグランアレグリアが勝利。ちなみに同日の新馬戦で、同馬の2着に敗れたのが、同年の阪神JF(G1)を制したダノンファンタジーだった。
同世代では、ホープフルSと皐月賞の両G1を連勝したサートゥルナーリアも、阪神で行われた10日の新馬戦を快勝。その早すぎる現役引退が話題となってしまった。
2019年は、6月1・2日と8・9日の4日間で、前年同様9鞍の新馬戦が組まれていた。
2日の新馬戦でデビュー勝ちした前出のサリオスのほか、1日の阪神芝1600mの新馬戦を勝利したリアアメリアは、次走のアルテミスS(G3)でも優勝。ほか、同年の京王杯2歳S(G2)を制したタイセイビジョンは、2日の新馬戦でデビュー勝ちしている。
また、そういった素質馬を扱う厩舎サイドにとっても、“期待馬”が早々にデビュー勝ちを飾ることのメリットは極めて大きいようだ。
タイセイビジョンを管理する栗東・西村昌幸厩舎は、翌週8・9日にもレジェーロとルーチェデラヴィタの2頭を新馬デビューさせており、それぞれ2着、1着と好成績をマーク。西村厩舎は、2019年6月初旬に計3頭も新馬デビューさせていたことになる。
実は2018年6月初旬の新馬戦にも2頭、2020年にはリッケンバッカーなど4頭が新馬デビュー。先週の6月5日の新馬戦でもチャオベッラが出走するなど、ここ4年で10頭もの新馬を6月初旬にデビューさせている西村厩舎は、同時期の新馬戦を“狙い撃ち”している厩舎といえるだろう。