JRAソダシ従妹「白毛馬」ハイアムズビーチがデビュー戦快勝! 北村宏司「すごく落ち着いていた」もラストスパートに課題
今年も白い馬体が躍動した。
12日、東京競馬場で行われた5R・新馬戦(芝1400m)は、3番人気のハイアムズビーチ(牝2歳、美浦・萩原清厩舎)が優勝。珍しい白毛馬がデビュー戦を快勝したニュースは、競馬ファンの間でも大きな話題になった。
先週の安田記念(G1)をダノンキングリーで勝利した萩原調教師から「完成度が高い。馬体がまとまっている。好レースを期待したい」と期待を込めて送り出されたハイアムズビーチは、「世界一白い砂のビーチ」として有名なシドニー郊外にあるハイアムズ・ビーチが由来だ。
その名の通り真っ白な馬体。関東オークス(G2)やTCK女王盃(G3)を勝つなどダート戦線で活躍した母ユキチャンもやはり白毛だったが、祖母のシラユキヒメから3代続く白毛一族だ。
18頭立て、芝1400mのレース。好スタートを決めたハイアムズビーチだったが、無理せず中団やや前目を追走。最後の直線で外に持ち出されると一歩一歩前との差を詰め、逃げきりを図った1番人気のハギノモーリスをゴール前で捕えた。
「勝つには勝ちましたが、レース後に北村宏司騎手が『追い出してからバランスを取るのに苦労していた』と課題を指摘していた通り、まだフットワークが定まっていない感じです。ただ、それでもレースを勝てたことには価値がありますし、粗削りな分、今後の伸びしろも大きいと思います。今年の牝馬クラシックを賑わせたソダシに続いて欲しいですね」(競馬記者)
昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)と今年の桜花賞(G1)を勝利し、白毛馬初のG1ホースとなったソダシは、ハイアムズビーチの従姉にあたる。今年のチューリップ賞(G2)など重賞3勝を挙げているメイケイエールも近親で、今最も勢いのある一族の一つといえるだろう。
「父は2016年の米ブリーダーズCスプリント(G1)など、G1・3勝を挙げた新種牡馬のドレフォン。血統的にはダートでデビューしてもおかしくない配合ですが、ソダシも含め、芝のデビュー戦を勝利しているところに一族の勢いを感じます。
現段階でソダシと比較するのはかわいそうですが、楽に追走していましたし、スピードはかなりありそうな雰囲気です。芝でデビューしましたが、ダートもマイルまでであれば面白い存在になれるんじゃないでしょうか」(別の記者)
「パドック、返し馬もすごく落ち着いていました。直線の坂はまっすぐ駆け上がって頑張ってくれました」
レース後、そう相棒の健闘を称えた北村宏騎手は実績十分のベテランだが、G1勝利は2015年の菊花賞(G1)、重賞勝利も2018年の関屋記念(G3)以来遠ざかっている。昨年はソダシと共に主戦の吉田隼人騎手が大きく注目を集めたが、ハイアムズビーチと歩む北村宏騎手の奮起にも期待したい。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。