JRAレッドベルアームまるで「練習代わり」のデビュー勝ち! 「兄弟で一番」福永祐一からは最大級の賛辞も飛び出す快勝、シャフリヤールの藤原厩舎にダービー連覇の期待

デビュー戦を快勝したレッドベルアーム 撮影:Ruriko.I

 27日、阪神競馬場で行われた5Rの2歳・新馬は、福永祐一騎手のレッドベルアーム(牡2、栗東・藤原英昭厩舎)が優勝。2着に5番人気アランヴェリテ、3着にはショウナンナダルが入り、3連複は4280円、3連単は1万4140円の払戻となった。

 また、レース前には予想外のアクシデントも発生した。馬場入りの際、放馬したテーオーコンドルにローマンネイチャーが絡まれ、同馬に騎乗していた松山弘平騎手が落馬して負傷。これにより、ローマンネイチャーは松山騎手から戸崎圭太騎手に乗り替わり、宝塚記念(G1)で騎乗を予定していたカデナは浜中俊騎手への乗り替わりが発表された。

 5着キラーアビリティ、8着ダノンフォーナインと人気を裏切ったライバルとは対照的に、1番人気の期待にしっかりと応えたレッドベルアーム。兄のレッドベルジュール、レッドベルオーブはともにデイリー杯2歳S(G2)を制したディープインパクト産駒。

 半弟のレッドベルアームは父がハーツクライに替わったが、デビュー戦を鮮やかな勝利で飾った。

 11頭立ての芝1800m戦。ローマンネイチャーは大きな出遅れ。福永騎手は好位の5番手から追走、川田将雅騎手のダノンフォーナインは3番手の積極的な位置取り。C.ルメール騎手のキラーアビリティは中団やや後方から進む。

 逃げたアランヴェリテのペースは、1000m通過60秒2と平均よりやや速めだったが、福永騎手のペース判断が冴えた。徐々にポジションを上げると、最終コーナーでは先行勢を射程圏に捉える絶好位に取りついていた。

 最後の直線に入って、先頭のアランヴェリテと2番手のショウナンナダルの脚色はまだ十分。懸命に叩き合う2頭の外から楽に交わしてゴール。一見、楽勝にも映るが福永騎手の積極的な競馬が功を奏したといえるだろう。

「逃げた馬が2着に入り、3着も2番手の馬と結果的に前残りのレースとなりました。それだけに早めに上がった福永騎手の好騎乗だったと思います。

500キロを超える馬体でまだまだよくなりそうな雰囲気もありますし、1800mをこなしたことで距離延長も問題なさそうです」(競馬記者)

「兄弟で一番いい。最後は苦しくなったが、いい練習で、いい勝ち方ができました」

 レース後に振り返った福永騎手から手応えを感じたコメントも出たように、次も勝ち負けが期待できそう。

レッドベルオーブ 撮影:Ruriko.I

 兄レッドベルオーブは昨年の朝日杯FS(G1)で1番人気に支持された素質馬。兄弟で一番いいと、主戦騎手から最大級の賛辞を受けたからには、陣営が目指す先はクラシックになるだろう。

 今年の日本ダービー(G1)をシャフリヤールで制した「福永×藤原」コンビが、来年も新たな刺客を送り込むか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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