JRA関西厩舎と“契り”交わした兄・横山和生VS皐月賞(G1)制覇を手土産に函館凱旋の弟・横山武史! 今年の夏競馬は仁義なき“兄弟対決”勃発?

 弟・武史騎手とは6学年上であり、横山一家の長男でもある和生騎手。今年上半期でマークした40勝は、弟とわずか1勝差。こちらも全国リーディング8位、関東では38勝の田辺裕信騎手よりも上位の3位と、こちらも立派な成績を残した。

 2011年に騎手デビューを果たし、3年目の13年には39勝をマークした和生騎手も、その後は年間10勝台と低迷。転機を迎えたのは2020年。久々に年間30勝を記録した昨年こそ、和生騎手のターニングポイントだった。

 その要因はズバリ、手を差し伸べてくれた関東の調教師たちの存在だ。

 昨年の和生騎手の成績を調べると、小野次郎厩舎の管理馬で9勝、田村康仁厩舎で3勝、勢司和浩厩舎の管理馬で4勝をマーク。つまり、父・典弘騎手がかつて苦楽をともにした、関東の元ジョッキー仲間や、縁のある調教師からのチャンスをモノにして、和生騎手は見事、復活を果たしたのだ。

 そしてデビュー11年目となる今年は、すでに40勝。ジョッキー人生のなかでキャリハイを残すシーズンを過ごしている。

 昨年から更に進化を遂げた要因は、関西厩舎との“絆”が深まった点が挙げられる。

 今年40勝のうち、安田隆行厩舎の管理馬で7勝。続いて5勝を挙げたのが、安田翔伍厩舎で、続いて昆貢厩舎の4勝。さらに石橋守厩舎と森田直行厩舎、長谷川浩大厩舎で2勝ずつと、昨年上半期には1勝もマークできなかった関西勢の厩舎での勝利が光る。

 ここまで記したとおり、上半期を終えた二人の勝利数は、武史騎手が1勝リード。今週にも、その差は逆転するかもしれない。

 また今週にとどまらず、9月初旬まで続く夏競馬で兄弟の熾烈な勝利数争いは俄然、熱を帯びるはず。今年の夏競馬で“横山ブラザーズ”が大暴れする可能性は、十分にあるといえるだろう。(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。

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