JRA「3歳賞金ベスト100」から見る名門厩舎の明暗! ドゥラメンテ&モーリスの堀厩舎がまさかの「全滅」……二冠・手塚厩舎&ソダシ須貝厩舎が大躍進! 2歳王者グレナディアガーズ中内田厩舎の意外な事実
厩舎で最も活躍したのは、京都新聞杯を制したレッドジェネシス。他にもホープフルSで3着したヨーホーレイクもおり、決して悪い結果だったわけではない。しかし、現在リーディング2位であり、毎年のようにG1制覇が期待される超名門としては不満の残るシーズンだったのではないだろうか。特にデビュー前から大きな注目を集めた名牝シーザリオの仔ルペルカーリアがクラシックの舞台に立てなかったのは、厩舎の今シーズンを象徴するかのような歯痒さがあった。
続いて、若手有望株の中内田充正厩舎にも触れておきたい。
2歳王者グレナディアガーズ(第10位)を輩出した厩舎に対して「期待ハズレ」と称するのはやや気が引ける。だが、2・3歳戦に定評のある中内田厩舎が、賞金ベスト100に本馬しか送り込めなかったのは、やはり厩舎としては不満の残るシーズンだったのではないだろうか。特にお得意先のダノックスから3頭の良血馬を預かるも合計1勝止まり、他の厩舎からダノンザキッド(第9位、安田隆行厩舎)という大物が出てしまったことは案外痛いはずだ。
最後は、美浦の名門・堀宣行厩舎だ。
2年連続で関東リーディング1位の堀厩舎が、今年はここまで21勝の9位に甘んじている。その最大の原因が3歳馬の不振だろう。なんと、賞金ベスト100に1頭も送り込めていないのだ。1つ上の4歳世代には2歳王者サリオス、ダート王カフェファラオを擁しているものの、3歳世代は鳴かず飛ばず……。
名牝ブエナビスタの最高傑作という前評判だったブエナベントゥーラ、かつて厩舎の看板だったサトノクラウンの半弟シテフローラルといった良血馬も未勝利を勝ち上がったのみ。筆頭格としては170位台に、ようやく青葉賞(G2)6着のレインフロムヘヴンが顔を出す程度という不本意な成績だった。
新種牡馬として注目されたドゥラメンテ・モーリスの2頭を手掛けたのが堀厩舎ということもあり、大きく期待されたシーズンだったが、ここまでの不振は完全に想定外だろう。
無論、これらは今年の上半期までの話。今後、新たな有力2歳馬が続々デビューし、厩舎の勢力図も一新されるはずだ。さらなる飛躍を遂げる厩舎、そして不本意なシーズンを送った名門の巻き返しにも期待したい。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。